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益田研究室

member
准教授 益田 隆嗣
助教 浅井 晋一郎

研究テーマ

  • 量子臨界点近傍におけるフラストレート磁性体の非自明な混成モード
  • 中性子によるスピン波スピン流の検出
  • マルチフェロイクス物質の非自明な音響マグノン
  • スピン液体状態の探索

本研究室は、低次元スピン系やフラストレーション系などにおける新しい量子現象・量子状態を実験的に発見することを目標としている。強い量子性や幾何学的フラストレーションは、自明な古典的秩序状態を阻害し量子状態が基底状態となる上に、小さな摂動に敏感なため、低次元スピン系やフラストレーション系は量子現象開拓のフロンティアとなっている。スピン液体、RVB、キューボック構造等新しい磁気状態と、マルチフェロイック系やリラクサー磁性体などにおける、新しい電気磁気効果に興味を持っている。最近の我々の研究例として、マルチフェロイクス物質Ba2MnGe2O7の中性子非弾性散乱スペクトルを図に示す。音響マグノン(T1)モードのk = 0におけるエネルギーギャップはスピン・ネマティック相互作用に起因していること、その温度依存性は磁気モーメントではなく電気分極の温度依存性でスケールされることが明らかにされた。この非自明なふるまいは、電気分極を担うd-p混成軌道の温度変化により説明された。

Ba2MnGe2O7の中性子非弾性散乱スペクトル。(a)0.05 Kで測定されたスペクトル。(b)-(e)低エネルギースペクトル((b)0.05K, (c)0.9K, (d)1.8 K, (e)2.5 K)。白線は計算曲線。(f)コンスタントqカットの温度依存性。黒線は計算曲線。

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