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益田研究室

助教 浅井 晋一郎

研究テーマ

  • 交替磁性体マグノンのカイラル分裂
  • スピン超固体のダイナミクス
  • 中性子分光器の開発

基礎から応用まで幅広く研究されている磁性体は、量子現象開拓のフロンティアとしても多くの興味を集めている。本研究室は、様々な磁性体の新しい量子現象・量子状態を実験的に発見し、その機構を解明することを目標としている。主にJ-PARCに設置されているHRC分光器を利用した研究(左図参照)を推進してきたが、ここ数年は、磁性体のダイナミクスを高効率で測定する新しい中性子分光器HOrizontally Defocusing Analyzer Concurrent data Acquisition (HODACA, 右図(a)参照)の開発にも手を広げた。2023年度にフラストレート磁性体CsFeCl3を用いた試験運転が行われた。右図(b)に示されるように正しくブラッグピークが観測され、右図(c)に示されるように先行研究と一致する磁気励起が観測された。従来の分光器と比べて70倍の測定効率であることが明らかとなった。今後は、HRC分光器とHODACA分光器の相補利用により、交替磁性体マグノンのカイラル分裂、スピン超固体のダイナミクス、スピン波スピン流などの新しい現象を探索する。

fig1
(a) 交替磁性体MnTeの中性子スペクトル。約2 meVのマグノン分裂が観測された。(b)計算された中性子構造因子のカイラル項。分裂したマグノンが異なるカイラリティを持つことを示している。
fig2
(a) HODACA分光器全景。 (b) HODACAで観測されたフラストレート磁性体CsFeCl3のブラッグピークプロファイル。 (c) HODACAで観測されたCsFeCl3の磁気励起スペクトル。白線は先行研究による理論曲線。

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