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益田研究室

助教 浅井 晋一郎

研究テーマ

  • 量子磁性体、フラストレート磁性体、トポロジカル磁性体の磁気励起
  • 中性子によるスピン波スピン流の検出
  • 中性子分光器の開発

量子磁性体、フラストレート磁性体、トポロジカル磁性体は、量子現象開拓のフロンティアとして多くの興味を集めている。本研究室は、これらの磁性体における新しい量子現象・量子状態を実験的に発見し、その機構を解明することを目標としている。主に中性子分光器を利用した研究(左図(a),(b)参照)を推進しているが、ここ数年は、磁性体のダイナミクスを高効率で測定する新しい中性子分光器HOrizontally Defocusing Analyzer Concurrent data Acquisition (HODACA, 右図(a)参照)を開発してきた。2022年度に建設が完了し、試験運転を行った。試験試料としてはフラストレート磁性体CsFeCl3が用いられ、右図(b)に示されるように正しくブラッグピークが観測され、右図(c)に示されるように先行研究と一致する磁気励起が観測された。従来の分光器と比べて24倍の測定効率であることが明らかとなった。今後は、マグノン寿命の制御、トポロジカルマグノン、スピン波スピン流などの新しい現象を、HODACA分光器を用いて研究する。

fig1
量子磁性体RbFeCl3において、磁場でマグノン寿命が制御される様子。左にマグノンの概念図、右に測定スペクトルを示す。ゼロ磁場で明瞭なマグノンが、磁場印可で不明瞭となり、高磁場で再び明瞭となる様子が観測された。
fig2
(a) HODACA分光器全景。 (b) HODACAで観測されたフラストレート磁性体CsFeCl3のブラッグピークプロファイル。 (c) HODACAで観測されたCsFeCl3の磁気励起スペクトル。白線は先行研究による理論曲線。

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