一般講演会「「極限」こそ、科学の冒険」を開催
12月13日、柏の葉キャンパス駅前サテライト、およびオンラインにて、一般講演会「「極限」こそ、科学の冒険」を開催しました。この講演会は、物性に関する研究成果を広く社会に還元・普及することを目的に年に一度開催しているものです。今年は、「極限」をテーマに、強磁場と高圧・高温という2つのタイプの極限に関する講演を行いました。
最初の講演は、松田康弘教授より「世界は磁場で満ちている」と題して行われました。そもそも磁場とは何か、相対性理論にまで踏み込んだ説明も交えつつ分かりやすく解説しました。そして磁場のエネルギーを温度に変換して例え、強磁場では物質そのものが壊れてしまい、磁場を作り出すことがいかに困難であるかを、実験映像も含めて示しました。動画では激しい衝撃音と火花が飛び散る様子があり、極限な状態であることが伝わりました。そのような強磁場では酸素が磁石になったり、絶縁体が金属になったりするなど、物質の性質が変わる例が示され、「強磁場下では、地球上に存在しない未知の物質を作り出すことができるかもしれない」と可能性について語りました。
続いての講演は、東京大学大学院理学系研究科の鍵裕之教授より「高圧科学で探る、地球奥深くに潜む水」と題して行われました。固体である氷が液体の水に浮くことが、物質の一般的な性質とは異なること、水は最も身近な物質でありながら研究者にとっては謎だらけであるということが最初に紹介されました。その水がOH–やHと形態を変えて岩石に入り込むことでマグマの形成や地震活動など地球規模の活動に大きな影響を与えていることを解説しました。実験では地球環境に似た高温・高圧力を発生させて、物質の変化をX線や中性子を使って測定しているという様子も紹介されました。そして最新の研究成果から、地球コアの密度に関わる話題として、ケイ素を含む鉄が、水素を取り込むことで体積が効率的に膨張する(=密度が低くなる)ことをとらえたデータが示されました。
質疑応答では「磁場を発生する実験をするとき、人がそばにいたらどのような影響があるのか」「氷の種類は、低圧、高圧では少なくて中央くらい(水の相図のグラフ、1GPa近傍)で種類が多いのか」など、たくさんの質問がありました。最後に、鍵教授から小さい人工合成ダイヤモンドのお土産もあり、講演でも説明されていた高圧発生用のダイヤモンドの観察ブースには行列ができていました。
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