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一般講演会「デジタル→量子の時代!? 量子コンピュータ、実現への壁」を開催

2月19日、柏の葉キャンパス駅前サテライト、およびオンラインにて、一般講演会「デジタル→量子の時代!? 量子コンピュータ、実現への壁」を開催しました。この講演会は、物性に関する研究成果を広く社会に還元・普及することを目的に年に一度開催しているものです。今年は、量子コンピュータをテーマにした講演で、3年ぶりに一部対面形式で行いました。

阿部英介 ユニットリーダー(理化学研究所)

阿部英介 ユニットリーダー(理化学研究所)は、「量子コンピュータの作り方と量子コンピュータの拓く未来」と題した講演で、理研で実際に開発中の量子コンピュータの構造、チップの作製法を説明されました。0と1のビットを用いる現在のコンピュータが扱える情報量には限界があること、0と1の重ね合わせが可能な量子ビットを用いるとその限界を超えられること、人工原子を量子ビットに使えることなどをなど分かりやすくお話しされました。量子コンピュータの優位性が見込まれる分野として、物質設計、データサイエンス、セキュリティの3分野が紹介され、将来、広く量子を利用した社会が到来することを期待させる内容でした。

勝本教授
勝本信吾 教授

続いて講演された勝本信吾 教授は、「「真空」の発見とコンピュータ ― 物質科学がもたらすハードウェアの革命 ―」として、「真空」を軸にコンピュータ発展の歴史を紹介されました。計算の基本原理である、0/ 1スイッチに利用されてきたデバイスとして「真空管」が登場したことによって、エニアックという大きな計算機が登場し、その後「真空管」が固体素子である「トランジスタ」に変わったこと、そして集積化によって、コンピュータの大きさと性能が激変したことを紹介されました。コンピュータの発展と物質開発はまさに両輪となって進んできたのです。そして今、量子ビットもまた真空を必要とし、量子状態を保持するための低温施設が巨大化しているのが一つの課題となっていること、物質科学によるブレイクスルーが期待されていることをお話しされました。

質疑では、会場とオンラインの両方から「量子ビットの制御がマイクロ波である理由は?」「冷凍機とチップの大きさの比に驚きました」「量子コンピュータも2進法が最適なのでしょうか?」「プログラムの開発言語は?」など、多くの質問や感想がありました。終了時刻後もオンラインには80名以上の方が残り、続く質問に対し、引き続き講師のお二方にお答えいただきました。今回の一般講演会は会場とオンラインのハイブリッドで開催したことで、量子コンピュータに関心の高い方々に全国からご参加いただくことができました。

オンライン配信の様子

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(公開日: 2023年02月21日)