「チョコレート学・入門編」を公文国際学園にて開催
9月22日、24日に、横浜市にある公文国際学園にてチョコを起点に科学・歴史・環境・社会について学ぶ「チョコレート学・入門編」を行いました。この講座は、同学園のプログラム「インタレスト・スタディーズ」内で実施されたもので、従来の「チョコレイト・サイエンス」を拡充する形で東京フード(株)と共同で企画されました。
講座の1限目「チョコの旅路 -カカオの歴史と広がり-」では、中南米で約5000年間利用されてきたカカオが、どのようにヨーロッパへ渡り、現在のチョコレートに発展してきたのかを、歴史的背景と共に学びます。続く「チョコの裏側 -児童労働と環境の問題-」では、カカオ農家が直面している課題と、インドネシアのカカオ農家を支援する東京フードによる取り組みが紹介されました。
そして2限目には講座のメインである「チョコの科学」を、Part1: Bean to Bar、Part2: 物理で美味しく、3限目にPart3:テイスティング講座の構成で行いました。カカオ豆から板チョコレート(Bean to Bar)になるまでの工程を豆の皮むきから体験します。細かく砕いていく過程で、見た目はもちろん、味やフレーバーの感じ方が大きく変化していきます。
「Part2: 物理で美味しく」で行ったココアバターの結晶の特性によって異なる食感を作り分ける実験では、融かしたチョコレートをそのまま型に入れて冷やし固める「単純冷却」と、25-26℃に冷やして31-32℃に再び温めてから冷やし固める「テンパリング」の作り分けに挑戦しました。見た目や食感、味の違いを検証するテイスティングでは、チョコレートの研究員が行う手順についてレクチャーを受け、一口ずつ吟味しました。今回はテンパリング有無の作り分けに加え、カカオ産地別のチョコも食べ比べました。カカオ豆の主要産地であるガーナ産、近年産量が増えてきているアジアからインドネシア産、そして原種に最も近いエクアドル産のカカオ豆で作ったチョコレートです。
最後にはまとめとして、班ごとに評価したチョコの食感や味の違いをグラフにプロットし、感想をシェアしました。参加した生徒からは「カカオ農家さんたちの大変な状況や環境の悪化などは世界が考えるべき問題だと感じ、とても印象に残りました。」「テンパリングをすることでこんなにも変わることに驚きました。」「産地が違うだけで味が全く違って面白かった。チョコレートに対する思いが変わった。」といった感想が寄せられました。それぞれに関心のあるテーマがあり、チョコレートについて深く知ることができたようです。
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