Home >  ニュース > 井手上敏也准教授が丸文研究奨励賞を受賞

井手上敏也准教授が丸文研究奨励賞を受賞

井手上敏也准教授が第28回(令和6年度)丸文研究奨励賞を受賞しました。この賞は、日本国内の大学または公的研究所等の研究機関において、科学技術の進歩並びに次世代の産業創出に貢献が期待される研究で、顕著な業績を挙げつつある若手研究者に授与されるものです。

受賞対象となった研究は「ナノ物質の対称性制御による整流効果の探求と電子機能開拓」です。

photo

層状物質を剥離して得られる原子層薄片試料やナノチューブ、ナノ界面等に代表されるナノ物質は、薄膜化や電場印加、イオンの挿入等によって結晶対称性や電子状態を制御できると同時に、歪み印加やヘテロ界面の作製によって元の結晶にはないユニークな構造を実現することができます。井手上准教授は、そのようなナノ物質において発現する対称性の破れを反映した物性や機能性の研究を推進してきました。特に、対称性の破れを反映した物質固有の(接合構造を必要しない、均質な一つの物質で生じるような)整流現象である、非相反伝導現象(結晶対称性を反映した電流や超伝導流の整流現象)および光起電力効果(分極を反映した光発電機能)の開拓を行い、その微視的機構を明らかにして、量子力学的整流現象の基礎学理を構築すると同時に省エネルギーナノエレクトロニクスへの道を切り拓いたことが評価され、受賞に至りました。

関連論文

  1. “Bulk rectification effect in a polar semiconductor”, Nature Physics 13, 578 (2017)
  2. “Superconductivity in a chiral nanotube”, Nature Communications 8, 14465 (2017)”
  3. “A van der Waals interface that creates in-plane polarization and a spontaneous photovoltaic effect”, Science 372, 68 (2021)

関連ページ

(公開日: 2025年03月31日)