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井手上敏也准教授が第19回(2024年度)凝縮系科学賞を受賞

井手上敏也准教授は、第19回(2024年度)凝縮系科学賞を受賞しました。同賞は凝縮系科学に従事する優れた若手研究者を奨励することを目的に青山学院大学(現 岡山大学特任教授) の秋光純教授と東京理科大学の福山秀敏教授が私費を投じて2006年に創設した賞です。授賞式は11月26日に神戸大学で行われた第18回物性科学領域横断研究会(領域合同研究会)において行われました。

受賞対象となった研究は「空間反転対称性の破れたファンデルワールスナノ結晶における整流応答現象の開拓」です。

第19回凝縮系科学賞

第19回凝縮系科学賞を受賞した井手上敏也准教授(左)

層間がファンデルワールス力で結合したファンデルワールス結晶では、機械的剥離と積層化およびデバイス化技術を駆使することで、単層だけでなく複数層の積層構造を自在に作製できることから、系の対称性を反映した特徴的な電子状態の形成とそれに由来する興味深い物性が引き出されています。近年では、積層制御技術の向上によりファンデルワールス結晶の多様な積層構造素子の研究が展開され、電子状態の制御に立脚した物性開拓研究の新たな潮流として、物質科学とデバイス物理の両面から注目されています。

井手上准教授は、空間反転対称性の破れに着目してファンデルワールス結晶のデバイス作製に取り組み、半導体や超伝導における非相反伝導現象やバルク光起電力生成など、直流電場と光電場のそれぞれに対する整流応答現象に関する独創的な研究成果を挙げてきました。一連の成果は、ファンデルワールス積層構造の研究分野において、物質創成に独創的な観点を与える優れた学術的価値を持つと同時に、各種の整流応答現象の機構解明と機能開拓にも大きな波及効果をもたらしたものとして評価され、受賞に至りました。

関連論文

  1. “Bulk rectification effect in a polar semiconductor”, Nature Physics 13, 578 (2017)
  2. “Superconductivity in a chiral nanotube”, Nature Communications 8, 14465 (2017)
  3. “A van der Waals interface that creates in-plane polarization and a spontaneous photovoltaic effect”, Science 372, 68 (2021)

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(公開日: 2024年11月29日)