井手上敏也准教授は2月23日、第45回本多記念研究奨励賞受賞者に選ばれました。同賞は、鉄鋼及び金属に関する冶金学・材料物性学の研究に従事した本多光太郎氏に由来する賞で、理工学、特に金属及びその周辺材料に関する研究を行い、優れた研究成果または発明を行った若手研究者を奨励するために贈られます。贈呈式は5月24日、都内の学士会館で行われる予定です。

受賞対象となった研究は「ナノ物質の対称性制御と量子力学的整流現象の開拓」です。

本多記念研究奨励賞受賞者に選ばれた井手上准教授

井手上准教授は、ナノ物質（層状物質を剥離して得られる原子層薄片試料やナノチューブ、ヘテロ界面等）における対称性制御を基軸とする新奇物性や機能性に関する研究に取り組んできました。中でも、空間反転対称性の破れた物質が固有に示す新しい原理の整流現象は、固体中の新機能として注目されるだけでなく、さまざまな関連分野に刺激を与えながら物理学における注目すべきトピックスへと発展してきており、固体物性研究の新潮流創出の契機となった重要な成果です。これらの業績が認められ、同賞の受賞に至りました。

関連論文

1. Bulk rectification effect in a polar semiconductor | Nature Physics
2. Superconductivity in a chiral nanotube | Nature Communications
3. Nonreciprocal transport in gate-induced polar superconductor SrTiO₃ | Science Advances
4. A van der Waals interface that creates in-plane polarization and a spontaneous photovoltaic effect | Science
5. Giant second harmonic transport under time-reversal symmetry in a trigonal superconductor | Nature Communications

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• 東京大学物性研究所 井手上研究室
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(公開日: 2024年03月12日)