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横山 優一氏(元和達研卒業生)が井上研究奨励賞を受賞

和達研究室卒業生の横山 優一氏(現:高輝度光科学研究センター博士研究員)が、第36回(2019年度)井上研究奨励賞を受賞しました。この賞は井上科学振興財団が、理学、医学、薬学、工学、農学等の分野で過去3年の間に博士の学位を取得した37歳未満の研究者で、優れた博士論文を提出した若手研究者に対し贈呈するものです。

授賞式の様子

受賞対象となった研究は、「遷移金属化合物の結晶構造により制御された電子状態のX線分光による研究」です。横山氏は、LaCoO3の共鳴非弾性軟X線散乱を測定して、引張応力下にある薄膜の3d電子間の遷移を観測し、応力ひずみによる高低スピン状態の違いの検出に成功しました。また、SPring-8 のBL07LSUにおいて時間分解軟 X 線吸収分光装置を開発し、レーザー光照射によるユウロピウム(Eu) M5端の吸収強度の時間分解変化から4f電子系の光誘起過渡現象を直接観測することに成功しました。さらに、オゾン雰囲気下で紫外線を照射しながら300℃でアニールする手法(オゾン酸化)によってSrCoO3-δ薄膜の作製に成功し、歪みによって4価のコバルトイオンのスピン状態が変化した可能性を示しました。

これらの研究はいずれも独創的かつ世界最先端の成果で、学術研究として高く評価されています。また、放射光施設SPring-8やX線自由電子レーザー施設SACLAでの研究トピックとして、その実験セットアップや時間分解能を考えて最適なものであり、放射光科学と物質科学がともに世界最高レベルである日本における研究展開として、世界に対して大きなアピールとなり先導的な研究であることが評価されました。

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(公開日: 2020年02月05日)