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池田暁彦氏(松田(康)研 助教)がエヌエフ基金の研究開発奨励賞を受賞

松田(康)研の池田暁彦助教がエヌエフ基金、第7回(2018年度)研究開発奨励賞先端計測部門を受賞しました。この賞は、革新性と独創性の高い、かつ科学や技術の進歩、発展に役立つ研究開発に対して、一般財団法人エヌエフ基金から授与されるものです。研究開発の着眼点と概要、革新性、独創性、科学や技術の進歩に役立つ発展性、産業発展への貢献の可能性、使命感・考え方などにより選考され、授賞式と研究発表会が11月16日に学士会館で行われました。

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受賞対象となった研究テーマは「独自開発超高速ひずみ計測装置による極限強磁場中スピン格子科学の開拓」です。100テスラを超える極限超強磁場領域では、近年、重要な磁場誘起相転移が相次いで発見されています。例えば、固体酸素の新規強磁場相、フラストレート磁性体の磁気超流動相、コバルト酸化物の新奇相への磁場誘起スピンクロスオーバー(SCO)などが発見されています。これらの発現には、強磁場相起源での「強いスピン格子結合」が重要であると考えられています。しかし、超強磁場中磁歪計測技術が存在せず、検証が不可能なため、超強磁場で発見された新奇相転移の本質・機能性の探索は手つかずでした。これに対し、池田氏は新規なひずみ計測素子であるファイバーブラッググレーティングに着目し、そのひずみ検出系を独自に考案することで、100 MHz に及ぶ超高速歪み計測装置を実装しました。これによって世界で初めて100テスラを超える極限強磁場領域での磁歪計測を実現しました。そして、コバルト酸化物の異常なSCO、固体酸素の異常伸縮磁歪とα-θ相転移、二次元量子磁性体の超強磁場新奇相の観測・発見をしました。この一連の成果により、「超強磁場スピン格子科学」というフロンティアを切り開いたことが高く評価されました。

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(公開日: 2018年11月21日)