吉田大希氏(山下研D3)がWINGS-QSTEPコロキウムのBest Poster Awardを受賞
東京大学の量子科学技術国際卓越大学院(WINGS-QSTEP)が主催する2025年度コロキウムが2月27日、本郷キャンパスの武田先端知ビルで行われ、山下研究室D3の吉田大希氏がBest Poster Awardを受賞しました。この賞は年一度のWINGS-QSTEPコロキウムのポスターセッションにおいて、優れたポスター発表をおこなった者に送られる賞で、今回は145件の発表があり、各学年から3名を基本に選出されます。
受賞対象となった発表タイトルは「Experimental verification of chiral superconductivity using thermal Hall measurements」です。
カイラル超伝導では時間反転対称性が破れるため、ゼロ磁場でも自発的に熱ホール効果が現れ、その熱ホール伝導率がカイラル超伝導状態を特徴づける整数(チャーン数)で量子化される可能性が理論的に提案されています。しかし、ゼロ磁場下で熱ホール効果を測定する手法が確立されておらず、これまで観測例はありませんでした。
そこで本研究では、ゼロ磁場での熱ホール測定手法を確立し、その妥当性を慎重に検証しました。その結果、カイラル超伝導の候補物質であるカゴメ格子超伝導体CsV₃Sb₅において有限の熱ホール効果を観測する一方、対照実験として通常の超伝導体である2H-NbS₂では信号が現れないことを見出しました。
さらに、観測された熱ホール伝導率の大きさや温度依存性は量子化を予言する理論とは異なるものの、カイラルクーパー対の不純物散乱を考慮した理論計算と整合する可能性が示されました。これらの成果は、カイラル超伝導体を検出するための新しい実験手法につながるものとして期待されます。
これらの成果と優れた発表が評価され、同賞の受賞に至りました。
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