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山口寛月氏(松田巌研D1)が日本放射光学会のJSR2025学生発表賞を受賞

松田巌研究室の山口寛月氏(博士後期課程1年生、受賞当時)は、1月10日〜12日につくば国際会議場で行われた第38回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウムにおいてJSR2025学生発表賞を受賞しました。同賞は、日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウムにて、将来性・独創性のある優秀な発表を行った学生に授与されるものです。

受賞対象となった発表は、「軟X線吸収分光による大面積HBシートの電子状態評価」です。

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近年、二次元物質を用いた機能性の発現が精力的に研究されています。中でもホウ素と水素から成るホウ化水素シートは、単層で半金属的なバンド構造を有することから導電性原子層物質としての活用が期待されるほか、水素貯蔵材料や触媒材料としての機能性が確認されています。これまで合成で得られるホウ化水素シートは、マクロには粉末状をしており、こうした形状は水素貯蔵や触媒としての活用には優れているものの、導電材料としては二次元物質として理想的なシート状になることが望まれていました。

本研究ではマクロなサイズでシート状のホウ化水素試料を得ることに成功し、その分光特性を調べました。溶液中のホウ化水素濃度をコントロールすることで粉末状からミリメートルサイズのシート状として得ることに成功しました。本手法の特筆すべき点は、ホウ化水素溶液の濃度に応じて、金属メッシュ上や基板上にもホウ化水素シートを得られることです。得られた試料についてX線吸収分光(XAS)をはじめとする各種分光測定を行ったところ、それぞれホウ化水素に特徴的なピークが確認できました。さらに、実験で得られたXASスペクトルを理論計算と比較することで、ホウ化水素のフェルミエネルギー周りの電子状態は、三中心二電子結合をもつ分子であるジボランのHOMO-LUMOの電子軌道が結晶の対称性に従って広がったものに対応することが結論されました。

これらの研究成果と優れた発表が評価され、同賞が授与されました。

関連論文

  • Journal: Physical Review Materials
  • Title: Macroscopic sheets of hydrogen boride and their spectroscopic evaluation
  • Authors: Kazuki Yamaguchi, Masahito Niibe, Xiaoni Zhang, Toshihide Sumi, Masafumi Horio, Yasunobu Ando, Jun-ichi Yamaura, Eiken Nakamura, Kiyohisa Tanaka, Takahiro Kondo, Iwao Matsuda* (*Corresponding author)
  • DOI: 10.1103/PhysRevMaterials.8.074005

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(公開日: 2025年08月08日)