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中辻研の肥後友也特任助教、日本物理学会若手奨励賞を受賞

中辻研究室の肥後友也特任助教が、日本物理学会若手奨励賞(領域3:磁性、磁気共鳴)を受賞しました。この賞は将来の物理学を担う優秀な若手研究者を奨励し、学会をより活性化するために設けられているものです。授与式は、3月17日の日本物理学会第75回年次大会で行われる予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止となりました。

受賞対象となった研究は、「非共線・非共面スピン構造を持つ反強磁性体における新奇機能物性の開拓」です。

多様なスピン構造を示す反強磁性体は、基礎物性の立場から興味が持たれ盛んに研究されてきました。また最近では、反強磁性体の持つ(1)磁化を持たない、(2)スピン共鳴周波数がTHzと強磁性体(GHz)に比べて高い、(3)材料選択の自由度が高いといった特徴も注目され、磁気デバイス材料としても期待を集めるようになりました。その一方で、磁化を持たない特性上、反強磁性体ではデバイス機能として必要とされる「スピン構造由来の巨大な応答の検出やその制御」が困難だと考えられていました。これらの課題に対し、肥後氏らはバルクと薄膜の作製技術を駆使して非共線・非共面スピン構造を持つ反強磁性体の開発を行い、共線スピン構造を持つ反強磁性体では期待できない「巨大な磁気光学カー効果」等の新奇機能物性を発見しました。

関連論文

  • [1]”Anomalous Hall effect in thin films of the Weyl antiferromagnet Mn3Sn”, T. Higo, D. Qu, Yufan Li, C. L. Chien, Y. Otani, and S. Nakatsuji, Appl. Phys. Lett. 113, 202402 (2018).
  • [2]”Large magneto-optical Kerr effect and imaging of magnetic octupole domains in an antiferromagnetic metal”, T. Higo, H. Man, D. B. Gopman, Liang Wu, T. Koretsune, O. M. J. van ‘t Erve, Y. P. Kabanov, D. Rees, Yufan Li, M.-T. Suzuki, S. Patankar, M. Ikhlas, C. L. Chien, R. Arita, R. D. Shull, J. Orenstein, and S. Nakatsuji, Nature Photonics 12, 73-78 (2018).
  • [3]”Magnetization Anomaly due to the Non-Coplanar Spin Structure in NiS2“, T. Higo and S. Nakatsuji, J. Phys. Soc. Jpn. 84, 053702 (2015).

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(公開日: 2020年04月16日)