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2次元物質半導体の電気制御による物性探索

日程 : 2025年12月3日(水) 3:00 pm - 4:00 pm 場所 : 物性研究所本館6階 大講義室(A632) 講師 : 島﨑 佑也 所属 : 東京大学 物性研究所 ナノスケール物性研究部門 世話人 : 川畑 幸平・橋坂 昌幸講演言語 : 日本語

物性と制御、ということを考えると、私にとっては「制御できるようになってようやく理解への取っ掛かりがつかめた」と思うことが往々にしてある。物質を原子層レベルで構成し、さらに電気制御することは物性を理解する上での一つの極みである。2次元物質半導体は、そのための最も適した舞台の一つと言える。このような系ではハニカム格子構造によるトポロジカル物性、強い電子-正孔間相互作用による多彩な励起子物性、またモアレ干渉による超格子が生み出す強相関電子物性などを精密に電気制御できる。
本講演では二層グラフェン、遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)といった2次元物質半導体における電子物性を精密に電気制御した、一連の実験について紹介する。具体的には二層グラフェンにおける電場制御によるバレーホール効果の誘起、TMDモアレ格子系における強相関絶縁状態の電気制御と励起子センシングによる観測、励起子ウムラップ散乱による電荷秩序状態の検出、トンネル結合したモアレ格子の電気制御、電気制御による励起子-正孔フェッシュバッハ共鳴の観測、ハイブリッド励起子状態の電気制御について紹介する。
最後に微細加工と精密電気制御を駆使した研究の今後の展望についても紹介する。


(公開日: 2025年10月02日)