機械学習を用いた実験データからの有効モデル推定
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ベイズ推定を利用した機械学習および計算物質科学手法を組み合わせることで,機械学習による実験データからの有効モデル推定手法を開発してきた.特に測定された磁化過程を入力とし,その物質の磁性有効モデルを推定する手法開発に注力してきた.
実験データから有効モデルを推定するために,有効モデル中で重要なパラメタを選定,その値を決めるための方法論を定式化した.これまで種々開発されてきた計算物質科学手法を用いると,有効モデルが与えられたとき,様々な物理量を計算することができる.この計算を利用すると,有効モデルが与えられた際の測定ノイズを含めた実験データを条件付き確率分布で表すことができる(フォワードモデリング).ここで,ベイズの定理を用いることで,実験データが与えられた際の有効モデルの事後確率分布が,フォワードモデリングによる条件付き確率と,モデルパラメタの事前分布で表すことができる.これはフォワードモデリングと逆プロセスであり,ベイズモデリングと呼ばれる.事前分布を適切に決めることで,事後確率分布を最大とする有効モデルが最も実験データを説明できるモデルと推定される[Physical Review B 95, 064407-1-8 (2017)].
このように開発された手法の有用性を示すために,実際の実験系への適用として,低次元量子スピン系KCu4P3O12に対して高磁場測定で得られた磁化過程および帯磁率の実験結果から,スピンハミルトニアンを推定した[Physical Review B 101, 224435 (2020)].その結果,推定されたスピンハミルトニアンは,実験データを非常によく再現でき,磁気的相互作用の誤差も見積もることができた.
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