廣井研の平井助教がCEMS Symposium on Emergent Quantum MaterialsのJPSJポスター賞を受賞

物性研究所廣井研究室の平井 大悟郎 助教が、CEMS Symposium on Emergent Quantum MaterialsのJournal of the Physical Society of Japan(JPSJ)のポスター賞をを受賞しました。この賞は、本シンポジウムにて発表された約70件のポスターの中から特に優秀だったものをNature, Science, JPSJの編集者がそれぞれ1件ずつ選び表彰するものです。授与式は、東京大学伊藤国際学術研究センターで開催された本シンポジウム期間内の5月24日に行われました。
受賞対象となった発表タイトルは”Quadrupole order in a spin-orbit entangled 5d oxide”です。電子はスピンと軌道という2つの自由度を持ちます。原子番号の大きい重い元素では、この2つの自由度を結合させるスピン軌道相互作用という力が働き、磁気秩序よりも複雑な多極子の秩序が形成されます。平井氏は5d遷移金属化合物のBa2MgReO6という物質に着目し、純良な結晶の育成と放射光を使った精密な回折実験を行いました。その結果、この物質でスピンと軌道の結合状態が確かに実現していることと、そこで形成される四極子秩序の詳細を明らかにしました。5d電子系では、様々な新規量子相の実現が理論的には提案されていますが、現実の物質での実現にはまだほど遠いというのが現状です。今回得られた知見は、今後新たな量子相を探索するうえでの指針を与える成果です。研究の独創性と海外の研究者からの注目の高さが評価され、受賞に至りました。
関連論文
- Daigorou Hirai, and Zenji Hiroi, “Successive Symmetry Breaking in a Jeff = 3/2 Quartet in the Spin–Orbit Coupled Insulator Ba2MgReO6,” J. Phys. Soc. Jpn., 88, 064712 (2019).
関連ページ
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