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押川正毅教授、第4回日本学術振興会賞を受賞

物性理論研究部門の押川正毅教授が、第4回日本学術振興会賞を受賞しました。同賞は、優れた研究を進めている45歳未満の若手研究者を奨励し、独創的、先駆的な研究を支援することを目的として、平成16年度に創設されました。人文・社会科学及び自然科学の全分野から、毎年20名程度が選ばれます。押川教授は、物性物理学、統計物理学における量子多体問題に関わるさまざまな現象において、それらを統一的に理解する基礎理論を構築してきました。例えば、磁性体における「磁化プラトー」という現象に対して、周期あたりのスピン数、スピン量子数、およびプラトーにおける磁化の間に成り立つ一般関係式の理論的導出を行いました。これは磁化プラトーの物理的意義を明らかにした先駆的な業績であり、NH4CuCl3、SrCu(BO3)2などにおける磁化プラトーの実験的研究など、その後の研究に大きな波及効果を与えました。さらに、押川教授は磁化プラトーの理論を発展させ、ラッティンジャーの定理の一般次元への拡張、TlCuCl3における磁場誘起相転移のボーズ・アインシュタイン凝縮としての理解、分数化とトポロジカル秩序の関係の解明など、物性理論の基礎的な問題に対する数々の独創的な成果を挙げました。今回の受賞タイトルは「量子多体系の磁性・伝導現象の新たな理解」であり、押川教授のこれまでの広範な研究成果をまさに一言で表現しています。本賞は若手に贈られるものであるということからも、今後の押川教授のさらなる活躍が期待されます。授賞式は2008年3月3日に、秋篠宮同妃両殿下のご臨席を得て、日本学士院にて行われました。

http://www.jsps.go.jp/jsps-prize/ichiran_4rd/11_oshikawa.html

(公開日: 2008年03月19日)