日本物理学会では、将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励することを目的として若手奨励賞を設けています。

　この度、領域１における第７回（2013年）受賞者の一人として、渡辺優氏（元加藤研究室特任研究員、2012年8月より京都大学基礎物理学研究所助教）が選ばれました。受賞対象となった論文では、量子力学におけるハイゼンベルクの不確定性原理が観測理論と推定理論の立場から再定式化され、実験で検証可能な新しいタイプの不等式が提案されました。この仕事は、近年話題となっている「小澤の不等式」に関連して、量子力学基礎論の分野で大変に注目を集め、高い評価を得ています。これらの一連の仕事が評価され、日本物理学会から若手奨励賞が授与されました。

対象論文：

[1] “Uncertainty of relation revisited from quantum estimation theory”, Y. Watanabe, T. Sagawa, and M. Ueda, Phys. Rev. A 84, 042121 (2011).

[2] “Quantum estimation theory of error and disturbance in quantum measurement”, arXiv:1106.2526 (2011).

[3] “量子推定理論による測定誤差の不確定性関係の定式化とその量子情報幾何における意味付け”, 素粒子論研究 119巻, D283 (2012).

日本物理学会 若手奨励賞受賞者一覧：
http://www.jps.or.jp/activities/awards/jusyosya/wakate2013.html