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常圧と高圧で現れる高温超伝導のつながりを解明 ―格子の歪んだ薄膜への高圧印加により二つの超伝導領域を橋渡し―

東京大学大学院工学系研究科の長田 礎 助教、塚﨑 敦 教授、同大学の十倉 好紀 卓越教授(国際高等研究所東京カレッジ)、理化学研究所創発物性科学研究センターの寺倉 千恵子 上級技師、Jean-Baptiste Morée研究員、吉川 明子 上級技師、中島 正道 上級研究員、東京大学大学院新領域創成科学研究科の今城 周作 准教授、東北大学金属材料研究所のHsiao-Yi Chen助教、野村 悠祐 教授、東京大学物性研究所の金道 浩一 教授、同大学大学院理学系研究科の有田 亮太郎 教授らの研究グループは、常圧で超伝導を示す格子の歪んだ二層ニッケル酸化物薄膜を作製し、強磁場測定と高圧測定を通じて、その超伝導特性を調べました。

本研究では、常圧で約40 Kであった超伝導転移温度が、16 GPa(ギガパスカル)で最大73 Kまで上昇することを明らかにしました。これにより、従来はそれぞれ独立に研究されてきた高圧超伝導と常圧超伝導を、同一の物質系の薄膜試料で初めて実現しました(図1)。

本成果は、格子の歪んだ薄膜に圧力を印加することで、格子変形と超伝導特性の関係を明らかにしました。さらに、Ln元素種依存性における格子変形と常圧超伝導との関係を圧力効果の特性変化と比較することで、さまざまな知見を得られました。高い超伝導転移温度を実現するためには、結晶格子の大きさだけでなく、面内方向と面直方向の格子サイズ比や、それに伴う電子状態を最適に調整することが重要であると示唆されます。本研究は、これまで別々に研究されてきた常圧超伝導と高圧超伝導の関係を、同一の薄膜試料を用いて初めて実験的に示したものであり、高温超伝導の発現機構の理解や新たな材料設計につながる成果です。

本研究成果は、科学雑誌『Nature Materials』オンライン版(8月18日付)に掲載されました。

fig1
図1:二層ニッケル酸化物の結晶構造と静水圧・エピタキシャル歪みの模式図
a. 二層ニッケル酸化物Ln3Ni2O7(Ln:希土類元素)の結晶構造。二層ペロブスカイト層と岩塩構造層が交互に積層している。b. バルク試料への静水圧印加。静水圧下では結晶が各方向から圧縮されて、面内と面直の格子が縮む。c. エピタキシャル歪み。薄膜では、基板との格子定数の違いにより面内方向にエピタキシャル歪みが加わり、それに伴って面直方向の格子が伸長する。
工学系発表のプレスリリース

論文情報

  • 雑誌名:Nature Materials
  • 題 名:Bridging ambient- and high-pressure superconductivity in La2LnNi2O7 films
  • 著者名:Motoki Osada, Chieko Terakura, Shusaku Imajo, Jean-Baptiste Morée, Akiko Kikkawa, Masamichi Nakajima, Hsiao-Yi Chen, Yusuke Nomura, Koichi Kindo, Ryotaro Arita, Yoshinori Tokura, Atsushi Tsukazaki
  • DOI: 10.1038/s41563-026-02695-3

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(公開日: 2026年08月20日)