Home >  ニュース > 冨依 勇佑氏(原田研D3)が日本放射光学会の学生発表賞を受賞

冨依 勇佑氏(原田研D3)が日本放射光学会の学生発表賞を受賞

原田研究室D3(受賞当時)の冨依勇佑氏が、2026年1月7日から9日にかけて東北大学百周年記念会館・仙台国際センターで行われた第39回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウムにて、JSR2026学生発表賞を受賞しました。今回は本年会・シンポジウムで口頭発表57 件、ポスター発表57 件の計114 件の学生による発表申込があり、将来性や独創性など総合的に審議され、最も優秀と認められた口頭発表を行った学生に対して顕彰し、本賞が贈られました。

JSR-Awd_tomiyori

受賞対象となった発表タイトルは「In situ 軟X 線発光分光と分子動力学計算を用いた親水性・疎水性膜界面における水分子の電子状態解析」です。

材料表面と水が接する固液界面における水分子の振る舞いは、親水性・疎水性といったマクロスケールの表面特性を根本的に支配しており、機能性材料などの物性設計において極めて重要な研究対象です。しかしながら、親水性・疎水性といった異なる表面特性を示す固液界面近傍の水分子がどのような電子状態で存在しているかは、従来の手法では直接観測が困難であり、多くの未解明な点が残されていました。

本研究では、分子レベルで構造を精密に制御できる自己組織化単分子膜を対象とし、放射光施設SPring-8およびNanoTerasuの高輝度ビームラインと独自開発した大気圧下での分析が可能なセットアップを用いた軟X線発光分光により、固液界面でネットワーク形成された水のin situ("その場")観測に成功しました。さらに、分子動力学シミュレーションや密度汎関数理論に基づく理論計算を組み合わせることで、親水性・疎水性膜界面における水分子の電子状態と空間分布の違いを分子レベルで明らかにし、実験事実に対して分子論的な解釈を与えることができました。

これらの成果は、表面を形成する分子構造の違いが固液界面における水分子のネットワーク様式を変化させ、それが親水性・疎水性といったマクロスケールの表面特性として発現するという、分子構造と表面機能の相関についての新たな知見を提供するものであり、生体適合性材料や親撥液コート材料、触媒、水処理膜など幅広い産業材料の高機能化に貢献することが期待されます。

本研究での放射光を利用した先駆的な "その場" 計測技術と計算科学を融合した独自のアプローチにより、固液界面科学の深化に貢献した点が放射光科学分野の有識者から高く評価され、本賞の受賞に至りました。

関連ページ

(公開日: 2026年04月09日)