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中村彌法氏(森研M2)が日本物理学会の学生優秀発表賞を受賞

森研究室M2の中村彌法氏が10月11日、日本物理学会の学生優秀発表賞(領域7:分子性固体分野)を受賞しました。この賞は日本物理学会において若手の優秀な発表を奨励することを目的に設けられたもので、9月16日〜19日にかけて広島大学で開催された第80回年次大会 (2025年) で発表を行なった学生の中から選出されました。

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受賞対象となった発表は「新奇プロトン-電子カップリング型圧力誘起有機超伝導体の輸送特性」です。

Ginzburgが提唱した「エキシトン超伝導」は、エキシトンを媒介とした超伝導の理論的概念で、2次元電子系を誘電体層で挟んだ構造をモデルとして提案しています。そのアイディアに触発を受け、森研究室では誘電体層として水素結合層を導入し、量子的なプロトンの揺らぎを媒介にしたプロトン-電子カップル型有機伝導体を設計、合成してきました。

中村氏は、このプロトン-電子カップル型有機伝導体κ-H3(Cat-EDT-ST)2の静水圧力下における輸送特性を調査し、新奇な圧力誘起超伝導相を発見しました。さらに、上部臨界磁場の異方性を調査することで、第一原理計算から予測されるよりも高い、異方的3次元性を見出しました。これは、超伝導状態にプロトンの量子的な揺らぎが関係している可能性を示唆すると考えられます。

これらの研究成果と優れた発表が評価され、同賞が授与されました。

関連論文

  • M. Shimozawa, K. Hashimoto, A. Ueda, Y. Suzuki, K. Sugii, S. Yamada, Y. Imai, R. Kobayashi, K. Itoh, S. Iguchi, M. Naka, S. Ishihara, H. Mori, T. Sasaki and M. Yamashita, “Quantum-disordered state of magnetic and electric dipoles in an organic Mott system”, Nat. Commun. 8, 1821 (2017)

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(公開日: 2025年10月31日)