橋本大輔氏(井上研M1)が生物物理若手の会 夏の学校にて最優秀ポスター賞を受賞
井上研究室M1の橋本大輔氏が9月1日〜4日にSport & Do Resort リソルの森(千葉県)で行われた2025年度第65回生物物理若手の会 夏の学校にて、最優秀ポスター賞を受賞しました。この賞は、ポスターセッションで発表された74件から参加者投票により選出された最も優秀な発表を行った者1名に与えられます。
受賞対象となった発表タイトルは「ベイズ最適化と自動実験によるCapChR2機能最適化」です。
橋本氏は、AI駆動型のタンパク質工学に向けた自動実験システムの構築についての研究発表を行いました。近年、生命科学におけるAI応用研究は目覚ましい発展を遂げています。特に、約2万種以上のタンパク質立体構造データを基に深層学習により確立されたAlphafoldは、それまで困難だった高性能な立体構造予測を可能とし、生命科学に飛躍的な進歩をもたらしています。現在、多くの研究者の関心を集めている次の課題は、AIを用いたタンパク質の機能予測です。しかし、この分野では依然として決定的な成果はありません。大きな理由は、タンパク質の機能が多岐にわたることと、機能予測の訓練に必要な大量の実験データが著しく不足していることにあります。
同氏は、AIと自動実験技術を組み合わせ、機能予測に必要な大量な実験データをより効率よく取得するAI提案型の自動実験システム・AI–ロボット協働システムの構築に取り組んできました。今回の研究では、光受容タンパク質であるカルシウムイオン透過性チャネルロドプシンCapChR2をモデルタンパク質とし、変異体の機能をハイスループットに測定し、機能変化を定量的に捉えることが出来る蛍光測定系の確立に成功しました。これらの方法論は、タンパク質の深い理解や幅広い応用への展開を可能にする基盤となるものであり、とりわけ自動実験システムによるデータ取得を実現した点が高く評価され、今回の受賞に至りました。