李 春阳光氏(井上研M2)が第21回国際生物物理会議で学生・若手研究者ポスター賞を受賞
井上研究室の李 春阳光氏(修士課程2年生)は、6月24日から28日にかけて国立京都国際会館で行われた第21回国際生物物理会議(IUPAB2024)において、IUPAB2024 Student and Early Career Researcher Poster Awardを受賞しました。同賞は、ポスター発表を行った学生、若手研究者のなかで、特に優れていた発表を参加者による投票で選出したものです。
受賞内容は、「Exploration of the Diversity of Absorption Spectra in Vertebrate Retinal Photo-isomerase, RGR」です。
同氏は、動物の視覚機能維持に関わるロドプシン・Retinal G protein-coupled receptor(RGR)についての研究を行いました。多くの脊椎動物が持つRGRは、視覚ロドプシンの発色団である11シス型レチナールを供給するためのレチナール光異性化酵素として働きます。これまでRGRの分光学的特性についての研究はほとんど行われていませんでした。今回の発表では、多くの脊椎動物のRGRが一般的に青色光受容体であること、硬骨魚類の一種であるゼブラフィッシュは青色光受容型RGRに加え、緑色光受容型RGRを持つことを見出しました。更に、青色光受容型と緑色光受容型の吸収特性の違いをもたらすアミノ酸残基を特定し、発色団レチナールのねじれの違いによって吸収特性が変化していることを示唆しました。今回の研究は視覚機能維持に関わるロドプシンにおいて初めて吸収波長制御のメカニズムを示すものです。この研究内容に関するポスター発表が参加者および選考委員会によって高く評価され、賞の受賞に至りました。
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