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福嶋拓海氏(押川研 M1)が物性科学領域横断研究会で最優秀若手奨励賞を受賞

押川研究室の福嶋拓海氏(修士課程1年生)は、11月24日から25日にかけて名古屋工業大学で行われた第17回物性科学領域横断研究会において最優秀若手奨励賞を受賞しました。同賞は若手研究者の研究を奨励し、物性科学の5〜10年後の活況に貢献する人材を育てるために設けられた賞です。

受賞対象となった研究は「準結晶超伝導体における超伝導電流分布」です。

授賞式の写真

第17回物性科学領域横断研究会にて最優秀若手奨励賞を受賞した福嶋氏

準結晶のバルクにおいて、初めて超伝導が報告されたのは2018年と最近のことです。準結晶における超伝導では、通常と異なる特性のクーパー対の存在が理論的に指摘されており、また、準結晶の幾何学的な構造と電磁応答との関連性など未解明な点が多く、超伝導特性への注目が集まっています。

受賞者の研究グループは、超伝導体に対して磁場を印加すると発生する超伝導電流を詳しく分析することで、磁場に対する応答特性を調べました。一様なベクトルポテンシャルの下で、局所超伝導電流とそれの常磁性成分・反磁性成分を定式化し、それぞれの実空間分布やパラメータ依存性を数値計算によって解析しました。これらの解析によって、準結晶構造のひとつであるAmmann-Beenker(AB)構造において、局所電流が非一様な空間分布を形成することや温度などいくつかのパラメータのもとで通常の結晶では現れない特異な性質が現れることを見出しました。また、異なる準結晶構造であるPenrose構造においてもAB構造と同様に非一様な電流分布が確認されることも明らかにしました。

今回の研究は、大阪大学の竹森那由多氏、理化学研究所の酒井志朗氏、岡山大学の市岡優典氏およびパリ=サクレー大学のAnuradha Jagannathan氏との共同の成果です。

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