附属国際超強磁場科学研究施設 小濱研究室の野村肇宏 助教（現：東京電機大学 講師）が第17回日本物理学会若手奨励賞（領域3 磁性）を受賞しました。この賞は、将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励し、日本物理学会をより活性化するために設けられたものです。オンラインで開催された日本物理学会2023年春季大会会期中、3月23日に受賞記念講演が行われました。

受賞対象となった研究は「酸素の超強磁場物性に関する研究」です。

酸素O₂は最も単純な磁性分子です。酸素が凝集した固体酸素や液体酸素における磁気的相互作用と分子の構造の関係は基礎的でありながら未解決の問題となっています。野村氏はこれまで固体酸素の超強磁場誘起相転移の発見[1]を中心として、酸素の強磁場物性に関する研究を独創的[2]かつ包括的[3]に行なってきました。関連する実験技術開発の成果として、パルス強磁場下における粘性測定技術の開発、破壊型パルス磁場下における超音波計測技術の開発が挙げられます。独創的な計測技術を適用することで、酸素の強磁場物性における新たな側面を明らかにしてきた点が評価されました。

受賞対象論文

• [1] “Novel Phase of Solid Oxygen Induced by Ultrahigh Magnetic Fields”, T. Nomura et al., Physical Review Letters 112, 247201 (2014). Editors’ Suggestion, Featured in Physics
• [2] “Physical properties of liquid oxygen under ultrahigh magnetic fields”, T. Nomura et al., Physical Review B 104, 224423 (2021).
• [3] “Solid and Liquid Oxygen under Ultrahigh Magnetic Fields”, T. Nomura et al., Oxygen 2, 152 (2022). Feature Paper, Review

関連ページ

• 第17回（2023年）日本物理学会若手奨励賞 (Young Scientist Award of the Physical Society of Japan) 受賞者一覧｜日本物理学会
• 附属国際超強磁場科学研究施設
• 東京大学物性研究所 小濱研究室