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永井瞭(杉野研D3)氏、日本物理学会若手奨励賞を受賞

杉野研究室D3の永井瞭氏が日本物理学会若手奨励賞(領域11)の受賞が決まりました。この賞は将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励し、日本物理学会をより活性化するために設けられたものです。3月22-25日に行われる日本物理学会春季大会にて授賞式が行われる予定です。

受賞対象となった研究は「機械学習による交換相関汎関数の構築」です

さまざまな物質の電子物性を調べる上で標準的に使われている理論手法である「Kohn-Sham DFT」において、交換相関汎関数を機械学習で構築する一般的な手法を提案しました。計算量の重い高精度計算手法の計算結果を学習データとして与え、機械学習モデルに汎関数を学習させる方法を確立しました。少数の分子からなるデータから作った機械学習汎関数が、さまざまな分子や固体においても既存の密度汎関数を超える精度を実現することを示しました。また、物理的に厳密なふるまい知られている極限での漸近挙動を再現するように機械学習モデルに工夫を施すことで、その汎化性能をさらに高めました。受賞に際して評価された点として、新規のアイデアを実現し、その精度や安定性を十分に調べたことや、他のグループによって関連研究が行われるようになったことによる波及効果の高さが評価されました。

関連論文

  • Ryo Nagai, Ryosuke Akashi, Shu Sasaki, and Shinji Tsuneyuki, The Journal of Chemical Physics, 148, 241737 (2018) “Neural-network Kohn-Sham exchange-correlation potential and its out-of-training transferability”
  • Ryo Nagai, Ryosuke Akashi, and Osamu Sugino, npj Computational Materials, 6, 43 (2020) “Completing density functional theory by machine learning hidden messages from molecules”
  • Ryo Nagai, Ryosuke Akashi, and Osamu Sugino, Physical Review Research, 4, 013106 (2022) “Machine-learning-based exchange correlation functional with physical asymptotic constraints”

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(公開日: 2022年11月09日)