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二成分密度汎関数法による金属表面の陽電子状態の研究

日程 : 2019年7月8日(月) 13:30 - 14:30 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 萩原 聡 氏 所属 : 量子科学技術研究開発機構 高崎研(元) 世話人 : 赤井 久純 (内線:63493)
e-mail: akai@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

陽電子は電子の反粒子であり, 電子と同じ質量, 電荷(ただし, 符号は電子の逆), スピンをもつ. 陽電子が電子と出会うと, 電子-陽電子対消滅を起こし, γ線を放出する. この放出γ線を調べることで対消滅相手の電子の情報を知ることが可能である. 電子-陽電子対消滅を利用した分光法は陽電子消滅法と呼ばれ, 材料中の格子欠陥や磁性の検出などに利用されている[1].
陽電子は, 物質最表面の電子状態や磁性状態を調べる強力なプローブとしても知られている. 低速で陽電子を物質中に入射すると, 入射陽電子の一部は熱拡散により物質表面に戻る. 表面に再帰した陽電子は次にあげるいくつかの特徴的な過程を辿ることが知られている: 負の仕事関数によって真空へ再度放出する過程, 表面電子と結合しポジトロニウム(Ps)を形成し, 真空へ再放出する過程, 表面ポテンシャルに捕獲され表面状態を形成した後に電子と対消滅する過程など. この陽電子に特有なPsの再放出過程や表面電子との対消滅過程を利用することで, 表面における電子状態や磁性状態の研究が行われている[2].
一方, 表面電子と陽電子の微視的な相互作用の理解はいまだに未解明な部分が多いため, 第一原理計算のような現実の表面電子状態や原子配列を反映した理論研究が必要となる. 我々は二成分密度汎関数法 [3] を用いた表面における陽電子状態計算手法の開発を行い, 実際の問題に対して応用を行ってきた. セミナー当日は特に, Fe(001)表面における陽電子状態および再放出Psのエネルギースペクトル計算結果などについて紹介する.

[1] F. Tuomisto and I. Makkonen, Rev. Mod. Phys. 85, 1583 (2013).
[2] C. Hugenschmidt, Surf. Sci. Rep. 71, 547 (2016).
[3] M. J. Puska and R. Nieminen, Rev. Mod. Phys. 66, 841 (1994).


(公開日: 2019年06月24日)