電場と温度勾配による非線形Hall効果の微視的理論
日程 :
2023年12月22日(金) 4:00 pm - 5:00 pm
場所 :
物性研究所6階第5セミナー室(A615)及び ZOOM(Hybrid)
講師 : 山口 皓史 氏 所属 : 理化学研究所 CEMS 世話人 : 加藤 岳生 (63255)
e-mail: kato@issp.u-tokyo.ac.jp講演言語 : 日本語
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外場に対し非線形に応答する非線形輸送現象が近年注目を集めている。非線形輸送現象は線形応答に対する補正項であるばかりではなく、本質的に異なる現象を引き起こすこともでき、実際に非線形Hall効果や電流の非相反伝搬、非線形光学効果といった非線形特有の現象が多く知られている。本研究では特に電場と温度勾配を互いに垂直に印加した場合に、両者の外積に比例する電流が生じる効果(非線形カイラル熱電気(Nonlinear Chiral Thermo-Electric, NCTE) Hall効果と呼ぶ)に着目する。NCTE Hall効果はWeyl粒子系において生じることが報告され[1]、その後半古典論に基づいた解析[2,3]から固体中でも生じうることが指摘された。一方で、具体的な固体のモデルで生じることを示した例はなく、また一般のバンド構造に対する微視的な定式化も不十分となっている。
本発表では、一般のバンド構造に対するNCTE Hall効果を微視的に定式化し、具体的なモデルにおいてそれが発現することを示す[4]。非平衡(Keldysh)Green関数を用いて電場と温度勾配の非線形応答を取り扱い、NCTE Hall効果を定式化する。得られた表式をバンド表示することで、先行研究では現れなかった寄与があることを見る。また、NCTE Hall効果が生じる簡単なモデルと、カイラル結晶の具体的な強束縛モデルにおいて、実際にNCTE Hall効果が生じることを示す。
[1] Y. Hidaka, S. Pu, and D.-L. Yang, Phys. Rev. D 97, 016004 (2018).[2] R. Nakai and N. Nagaosa, Phys. Rev. B: Condens. Matter Mater. Phys. 99, 115201 (2019).
[3] R. Toshio, K. Takasan, and N. Kawakami, Phys. Rev. Res. 2, 032021 (2020).
[4] T. Yamaguchi, K. Nakazawa, and A. Yamakage, arXiv:2305.05273 (2023).
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(公開日: 2023年12月08日)