熱電材料の高性能化はどこまで行くか
日程 :
2023年12月5日(火) - 2023年12月6日(水)
場所 :
物性研究所本館6階 大講義室(A632)
世話人 : 森孝雄(物質・材料研究機構)、岩佐義宏(東京大学)、小形正男(東京大学)、常行真司(東京大学)、寺崎一郎(名古屋大学)、福山秀敏(東京理科大学)、山本貴博(東京理科大学)岡本佳比古(東京大学)、中辻 知(東京大学)、森 初果(東京大学)
e-mail: yokamoto @ issp.u-tokyo.ac.jp(東大物性研 岡本)、KOBAYASHi.Kazuaki @ nims.go.jp (物質・材料研究機構 小林)講演言語 : 英語
e-mail: yokamoto @ issp.u-tokyo.ac.jp(東大物性研 岡本)、KOBAYASHi.Kazuaki @ nims.go.jp (物質・材料研究機構 小林)講演言語 : 英語
熱電変換材料は、ペルチェ冷却のほかに、ゼーベック効果による固体素子で熱エネルギーを直接電気に変換できる材料でもあり、廃熱発電の省エネ効果や無数のセンサーの自立電源としても期待されている。熱電変換材料の性能は性能指数ZT = S2σT/κ(S:ゼーベック係数、σ:電気伝導率、κ:熱伝導率、T:温度)で表わされるが、熱電物性の各パラメーター間のパラドックス的な要請があって、高性能化が一般的に容易ではない。しかし、高いZTを得られる種々の高性能化戦略が進んでおり、従来はZT ~ 1が高性能材料の一つのベンチマークとされていたのが、最近はZT > 2が得られる高性能材料例が増えている。巨大なパワーファクターS2σも異なる系で見つかって来ている。また、熱電分野の理論的側面に関しては、従来は現象学的な半古典的なボルツマン理論が用いられてきたが、ここ数年、量子力学的な取り扱い「熱電線形応答理論(Kubo-Luttinger理論)」が開発され、従来の予測を超えた新規な熱電特性の発見の道筋が切り開かれ始めた。さらに、トポロジカル材料、カーボンナノチューブ、有機材料などの新規材料系の進歩も進んでいる。このように、凝縮物性の理解に基づく様々な新しい原理が実験的にも理論的にも進展しており、本研究会では、集中的な議論を通じて新たな挑戦的な展望が切り開かれることが期待される。
(公開日: 2023年10月30日)