「光受容タンパク質ロドプシンの発色団異性体の多様性」「三次元ディラック半金属Cd3As2 におけるフロッケ状態の光応答探索」
e-mail: kobayashi.masataka@issp.u-tokyo.ac.jp講演言語 : 日本語
1.永田 崇 氏(物性研究所 井上研究室 助教)
【題目】
光受容タンパク質ロドプシンの発色団異性体の多様性
【概要】
動物や様々な微生物の細胞膜に存在する光受容タンパク質ロドプシンは、これまでに膨大な数の分子が同定されており、細胞の光センサーや、細胞膜を通したイオン輸送など多様な機能を示す。ロドプシンは発色団としてレチナールを結合しており、このレチナールの光異性化が引き金となってタンパク質全体の構造変化が生じ、生物学的な機能が発現する。動物ロドプシンは主に11シス型レチナールを結合し、全トランス型へ光異性化する。一方、微生物ロドプシンでは主に全トランス型を結合し、13シス型への光異性化を示す。本講演では、これらとは異なる非典型的な発色団異性化特性を示す動物・微生物ロドプシンの発見や機能、分子メカニズムに関する話題を中心に、これまでの研究について紹介する。
2.室谷 悠太 氏(物性研究所 松永研究室 特任研究員)
【題目】
三次元ディラック半金属Cd3As2におけるフロッケ状態の光応答探索
【概要】
フロッケ・エンジニアリングの考え方により、光による電子状態のトポロジー制御など多くの興味深い現象が予想されているが、理論研究が大きく先行する一方で実験的検証はいまだ不十分である。本研究ではトポロジカル半金属の一種であるCd3As2を高強度マルチテラヘルツ光で駆動し、分光学的にフロッケ状態の応答を探った。その結果、励起光の周波数と同程度のマルチテラヘルツ帯ではフロッケ状態間の共鳴に由来する誘導レイリー散乱、DCに近いテラヘルツ帯では電場下の光学遷移に由来する円偏光誘起異常ホール効果が観測された[1,2]。いずれも従来の予測とは異なっており、理論との比較から、これまで軽視されていた重要な光応答が関与していることを明らかにした。
[1] Y. Murotani*, N. Kanda* et al., Phys. Rev. Lett. in press. (*equal contribution)
[2] 室谷ら、日本物理学会2022年秋季大会、講演番号15aW242-4。
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