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スピン軌道結合金属パイロクロアCd2Re2O7における多極子秩序転移: ランダウ理論に基づく磁気トルク解析

日程 : 2022年3月4日(金) 11:00 - 12:00 場所 : オンライン(Zoom) 講師 : 宇治 進也 氏 所属 : 物質材料研究機構(NIMS) 世話人 : 金道 浩一
e-mail: kindo@issp.u-tokyo.ac.jp

Reの5d電子が伝導体を形成するパイロクロア酸化物Cd2Re2O7は、スピン軌道相互作用 が比較的強く、スピン軌道結合金属と呼ばれる。室温では立方晶であるが、温度を下げると200Kと120Kでそれぞれ2次、1次の構造相転移を引き起こし、正方晶へと対称性が低下する[1]。
それら相転移温度では、非常に小さな構造変化であるにも関わらず大きな電子状態の変化が観測されるため、スピン軌道相互作用によるフェルミ面構造の不安定性が相転移の起源と考えられている[2]。
対称性が極めて高い物質は、電子系の何らかの不安定性により対称性が落ちることが多いが、その本質となる秩序変数の対称性は、相転移メカニズム解明には重要な情報である。特に、Cd2Re2O7では多極子秩序転移であるために、一般には秩序変数を見極める実験は限られている。本セミナーでは、小さな単結晶1つで測定が可能なマイクロキャンティレバーを用いた磁気トルク信号の異方性を、ランダウ理論に基づき解析することで、秩序変数の対称性やその多極子秩序が決められることを示す。Cd2Re2O7は金属常磁性状態であるので、この測定ではパウリ常磁性の異方性を観測していることになる。このようなランダウ理論に基づくトルク測定・解析手法は前例がなく、相転移研究に非常に強力であることを紹介したい[3-5]。
本研究は、寺嶋太一(NIMS)、杉浦栞理、廣瀬陽代、松林康仁(産総研)、杉浦栞理(東北大)、 長谷川巧(広島大), 杉井かおり、平井大悟郎、広井善二(物性研)との共同研究である。

[1] L. Fu, Phys. Rev. Lett. 115, 026401(2015)
[2] Z. Hiroi, et al., J. Phys. Soc. Jpn. 87, 024702 (2018).
[3] Y. Matsubayashi, et. al., Phys. Rev. B 101, 205133(2020).
[4] S. Uji, et. al., Phys. Rev. B 102, 155131 (2020).
[5] S. Uji, et. al., J. Phys. Soc. Jpn. 90, 064714 (2021).

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(公開日: 2022年02月16日)