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固体物性研究のための多彩な中性子散乱手法

日程 : 2021年9月30日(木) 16:00 - 17:00 場所 : ZOOM開催(事前登録を下記リンク先にてお願い致します) 講師 : 中島 多朗 氏 所属 : 東京大学物性研究所 世話人 : 談話会委員 岡﨑 浩三・岡 隆史
e-mail: danwakai@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

中性子は電荷を持たず磁気モーメントを持ち、固体物理で重要とされるエネルギーおよび長さスケール領域に良く合った分散関係を持つ粒子であり、これを用いた物性研究がこれまで盛んに行われてきた。多くの方が中性子散乱について持つイメージは、粉末試料や単結晶試料において多数の回折強度のデータを集めてきて行う結晶・磁気構造解析や、試料からの非弾性散乱シグナルを Q-ω空間にマップしてフォノンやマグノンなどの励起スペクトルを観測することであると思われる。このように定常状態にあるバルク試料の構造と励起を調べる中性子散乱手法はかなり確立し普及しているが、中性子の活用方法はこれだけではなく、より大きな広がりを持っている。今回の談話会では時分割測定、ナノ秒スケールのゆらぎの測定、界面磁性の測定などに有効である中性子散乱法を紹介し、聴衆の皆様に様々な角度から中性子に興味を持ってもらえるようにしたいと考えている。まず時分割測定については、J-PARC のパルス中性子を用いた磁気スキルミオンの過渡現象の測定を紹介する。これはパルス中性子のタイミングと試料に与える熱パルスを同期させることにより、約 50 K/s 程度のスピードで冷却される試料中での磁気スキルミオンの相変化を時分割測定したものである。最近この発展として、小濱准教授との共同研究でロングパルス磁場中の中性子散乱実験を計画中である。また、中性子スピンエコー法という手法を用いるとナノ秒スケールの遅い揺らぎが観測可能である。これが可能な装置はJ-PARC と JRR-3両者に設置されており、これを用いたサイエンスの展開についても言及したい。最後に界面磁性について、我々は偏極中性子反射率を用いて、トポロジカル絶縁体・強磁性絶縁体のヘテロ構造中の磁化分布や、狭ギャップ半導体表面に現れた強磁性状態の検出などに取り組んでいる。これについても薄膜試料に対する中性子の応用例として紹介したい。
【講師紹介】
中島先生は令和元年 10 月に物性研中性子科学研究施設に着任され、以来今年 2 月の JRR-3 の運転再開にご尽力されてきました。講演では、JRR-3の原子炉定常中性子と J-PARCの加速器パルス中性子を駆使した様々な中性子散乱についてご紹介頂けるものと思います。ぜひ皆様ご視聴ください。

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(公開日: 2021年09月10日)