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グラフェンと二次元磁性体の融合が拓くスピントロニクス

日程 : 2026年6月22日(月) 3:00 pm - 4:00 pm 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 青木 基 所属 : 東京大学物性研究所 世話人 : 三輪 真嗣 (63300)
e-mail: miwa@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

スピントロニクスは、電子の電荷だけでなくスピン自由度を利用することで、低消費電力・高機能な情報デバイスの実現を目指す研究分野として注目を集めている。中でもグラフェンは、高移動度・長距離スピン輸送・高いゲート可制御性を兼ね備えた代表的な二次元材料であり、スピン流輸送チャネルとして極めて優れた特性を有している。加えて近年では、二次元磁性体との van der Waals ヘテロ構造を利用することで、新しいスピントロニクス機能の実現に向けた研究が急速に進展している。特に、磁気近接効果によるグラフェンへの磁性誘起や、磁性 van der Waals 接合を介したグラフェンへの高効率スピン注入は、グラフェンの機能拡張に向けた重要なアプローチとして注目されている。
 本講演では、二次元金属強磁性体Fe₃GeTe₂(FGT)、および二次元反強磁性半導体CrSBr(CSB)を用いた最新の研究を紹介する。
 FGT/グラフェン 系では、ゲート電圧により制御可能な異常ホール応答や、キャリア極性に応じて符号反転するバタフライ型磁気抵抗が観測された。これらの結果を通して、磁気近接効果によってグラフェン側に大きな異常ホール応答が誘起されることを示すとともに、高移動度グラフェンの通常ホール応答と FGT の異常ホール応答が結合することで現れる新しい磁気輸送現象について議論する。
 CSB/グラフェン系では、電荷移動によって強いスピン偏極状態が形成されることで、CSB からグラフェンへの極めて高効率な電気的スピン注入が実現されることを示した。さらに、CSB をスピン注入・検出の両方に用いた all-van der Waals スピンバルブを実現し、人工的なトンネル障壁を必要としない新しいスピントロニクスアーキテクチャについて議論する。


(公開日: 2026年05月15日)