X線自由電子レーザーで探る非平衡固体物性
日程 :
2026年7月29日(水) 2:15 pm - 3:15 pm
場所 :
物性研究所本館6階 大講義室(A632)
講師 : 久保田 雄也 所属 : 東京大学 物性研究所 附属極限コヒーレント光科学研究センター 世話人 : 川畑 幸平・高木 里奈講演言語 : 日本語
X線自由電子レーザー(XFEL)は高い空間コヒーレンスを持った大強度の超短パルスX線光源である。現在、日本のSACLAを含む5つのXFEL施設が世界で稼働している。SACLAでは3本のビームライン(BL)が運用されており、BL1では光子エネルギー40–150 eVの軟X線FEL、BL2およびBL3では4–20 keVの硬X線FELが利用可能である。講演者は、これらXFELの特長を活かし、固体中の非平衡状態を対象とした物性研究を展開してきた。
本講演では、XFELを用いた物性研究の現状を概観するとともに、講演者らの研究成果を紹介する。例えば、光学レーザー励起と硬X線回折を組み合わせることで、光励起後に生じる結晶構造や電子秩序の超高速ダイナミクスを明らかにしてきた。また、光励起に加え、強磁場パルスを用いて非平衡状態を実現する方法もSACLAで用いている。最近では、ポータブルな100 T級パルス磁場発生装置を開発し、XFELと組み合わせることで、強相関電子系における磁場誘起格子変化や価数変化の直接観測に世界で初めて成功した。
最後に、SPring-8-IIを含む次世代放射光施設の展望を紹介し、最先端放射光源を活用した物性研究の今後の可能性について議論したい。
(公開日: 2026年04月08日)