超短パルスレーザー開発と量子光科学への展開
日程 :
2026年7月29日(水) 1:00 pm - 2:00 pm
場所 :
物性研究所本館6階 大講義室(A632)
講師 : 遠藤 護 所属 : 東京大学 物性研究所 附属極限コヒーレント光科学研究センター 世話人 : 川畑 幸平・高木 里奈講演言語 : 日本語
レーザー技術の発展は、基礎物理学の探求から精密加工に至るまで、幅広い分野に大きな恩恵をもたらしてきた。講演者らはその中でも光周波数コムと、それを支える超短パルスレーザー技術を共通の基盤として、精密分光、超低雑音マイクロ波生成、光量子情報処理という一見異なる領域を横断的に展開してきた。これらはいずれも、光がもつ優れた時間・周波数特性をいかに引き出し、制御するかという一点で結ばれている。
本講演では、講演者らの研究をレーザーとその周辺技術を軸にして紹介する。例えば、繰り返し周波数が10 GHzを超えるモード同期固体レーザーの開発や、一般的な雑音フロアより30 dB以上低い位相雑音をもつマイクロ波の生成およびその測定技術の開発である。さらに最近では、光量子コンピュータの実現に必要な、スクイーズド光やSchrödingerの猫状態といった量子状態を高品質に生成する研究を進めており、これらの研究でもレーザー技術が鍵となっている。
今後は、高繰り返し超短パルスレーザーの開発や光量子情報処理の研究を推進するだけでなく、「量子光と物質との相互作用」という新たな方向にも踏み出したい。例えば、スクイーズド光や猫状態といった非古典光を用いた非線形光学は、その一つの舞台となりうる。これまでは主にコヒーレント光を用いて発展してきた分野に積極的に量子光を取り入れることで、物性研究所という場ならではの研究を切り拓いていきたい。
(公開日: 2026年04月08日)