超伝導接合における完全計数統計の理論
日程 :
2025年1月29日(水) 1:00 pm - 2:00 pm
場所 :
物性研究所本館6階 第4セミナー室 (A614)
講師 : 田仲 由喜夫 所属 : 名古屋大学大学院 世話人 : 橋坂 昌幸 (63305)
e-mail: hashisaka@issp.u-tokyo.ac.jp講演言語 : 日本語
e-mail: hashisaka@issp.u-tokyo.ac.jp講演言語 : 日本語
電流の相関により生じるノイズは、メゾスコピック系を研究するための重要な情報を与え、コンダクタンスだけでは得られない知見を明らかにする。例えば、ノイズ測定は、従来の超伝導体の輸送キャリアが電荷2eを持つことを示している[1]。既存の理論では、 従来型超伝導体のトンネル接合におけるゼロ温度ショットノイズに焦点が当てられており、そこでは準粒子とクーパー対のトンネル効果によって伝導特性が決定される。また電流の高次の相関の計算を可能とする完全係数統計の理論は従来型超伝導体接合に対して確立していた[2]。一方、非従来型超伝導体においては、通常の準粒子とクーパー対のトンネル効果に加えて第3のタイプの電荷輸送の担い手となる表面アンドレーエフ束縛状態(SABS)が存在する[3]。系を記述するハミルトニアンのトポロジカル不変量に由来するSABSを有する非従来型超伝導体はトポロジカル超伝導体となることが知られている[4,5]。
本発表では、非従来型超伝導体/常伝導金属接合における、完全係数統計の理論を紹介する[7]。この理論においては、SABSに加えて熱雑音がファノ因子(ノイズパワーの電圧微分とコンダクタンスの比)に及ぼす影響が自然に取り入れられているという特徴がある。SABSが分散をもたないフラットバンド零エネルギー状態になるか分散を有するかよって、ファノ因子の温度・電圧依存性に特徴的な違いが表れることが明らかになった[7]。
(公開日: 2025年01月27日)