多量体を形成する遷移金属酸化物のX線光電子分光・吸収分光/
ナノ構造物質からの高次高調波発生:バンド内遷移とバンド間遷移
e-mail: murotani@issp.u-tokyo.ac.jp講演言語 : 日本語
(1)講師:大川 万里生 氏
題目:多量体を形成する遷移金属酸化物のX線光電子分光・吸収分光
概要:
V等の遷移金属酸化物では多量体形成により絶縁体相が安定化している例がしばしばみられる。光電子分光やX線吸収分光は、物質の電子状態を直接反映したスペクトルが得られるため、遷移金属の多量体形成の検証に有用である。我々は、c軸Ti二量体を形成するコランダムTi2O3のTi-Mg置換効果をX線吸収分光により、またパイロクロア格子中のWが三量体形成するとされるCsW2O6をX線光電子分光により調べたので報告する。
[1] M. Okawa et al., PRB 108, 159108 (2023).
[2] R. Nakamura et al., PRB 106, 195104 (2022).
(2)講師:中川 耕太郎 氏
題目:ナノ構造物質からの高次高調波発生:バンド内遷移とバンド間遷移
概要:
高次高調波発生 HHG)はアト秒パルス発生やX線光源などの応用に向けて注目される非線形光学現象である。近年では固体からのHHGが観測され[1]、特に電子のバンド内とバンド間での遷移によってその発生機構が理論的に議論されている。しかしながら、実験的にそれらの寄与を切り分ける研究は少ない。本講演では、ナノ物質であるナノ粒子とグラフェンに注目して、電子のバンド内遷移やバンド間遷移を制御し、
HHGへの寄与を解明する[2,3]。
[1] S. Ghimire et al., Nat. Phys. 7, 138 (2011).
[2] K. Nakagawa et al., Nat. Phys. 18, 874-878 (2022).
[3] K. Nakagawa et al., under review.
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