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ファンデルワールスナノ物質の 対称性と新奇物性

日程 : 2022年7月28日(木) 4:00 pm - 5:00 pm 場所 : ZOOM開催(事前登録を下記リンク先にてお願い致します) 講師 : 井手上 敏也 氏 所属 : 東京大学物性研究所 世話人 : 岡隆史 中島多朗講演言語 : 日本語

層状物質を剥離して得られる原子層数層からなる2次元結晶や2次元結晶を組み合わせて得られるファンデルワールス界面、それらが丸まった構造体であるナノチューブといったファンデルワールスナノ物質は、しばしば元の結晶にはないユニークなナノ構造が発現することに加えて、薄膜・デバイス化による大電流密度の実現や電場印加・電気化学的手法等による量子相制御が可能であり、新奇量子物性探索の舞台として近年大きな注目を集めています。講演者はこれまで、特にそのようなファンデルワールスナノ物質の対称性に着目した特徴的物性や機能性の開拓を行ってきました。本講演では、講演者が報告してきた成果のうち、ナノ物質の対称性の破れを反映した固有の整流現象である非相反伝導現象とバルク光起電力効果の研究を中心に紹介します[1]。非相反伝導現象の研究では、特徴的積層構造を持つ極性物質において非相反伝導の微視的機構を初めて明らかにして本現象の理解を深化させると同時に、本現象が超伝導状態等のエキゾチックな量子相でも普遍的に生じる現象であることを発見しました[2-4]。また、対称性が低下したナノチューブやファンデアワールス界面において、電子の幾何学的性質を反映した大きな光起電力応答が現れることを見出し、ナノ物質の対称性制御が巨大非線形応答を得るための強力な手法であることを示しました[5,6]。談話会では、これらの研究成果に加えて講演者の今後の研究方針や研究展望に関しても説明します。

[1] T. Ideue and Y. Iwasa, Annu. Rev. Condens. Matter Phys. 12, 201 (2021).
[2] T. Ideue et al., Nat. Phys. 13, 578 (2017).
[3] F. Qin et al., Nat. Commun. 8, 14465 (2017).
[4] Y. M. Itahashi et al., Nat. Commun. 13, 1659 (2022).
[5] Y. Zhang et al., Nature 570, 349 (2019).
[6] T. Akamatsu et al., Science 372, 68 (2021).

【講師紹介】
井手上先生は令和4年4月に物性研凝縮系物性研究部門に着任されました。
ナノ物質の対称性制御を基軸とした新奇物性探索・量子整流現象:非相反伝導現象、超伝導ダイオード効果、バルク光起電力効果、量子相制御:電界誘起超伝導、トポロジカル相転移、磁気秩序制御等について研究されています。
本講演では、井手上先生の研究成果のうちナノ物質の対称性の破れを反映した固有の整流現象である非相反伝導現象とバルク光起電力効果の研究を中心に紹介するとともに、今後取り組む研究方針や研究展望についてご講演いただけるものと思います。ぜひ皆様ご視聴ください。

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(公開日: 2022年07月01日)