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近藤猛准教授、日本学術振興会賞を受賞

物性研究所の近藤 猛 准教授が平成29年度の日本学術振興会賞を受賞しました。

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受賞対象となった研究は「銅酸化物高温超伝導体における擬ギャップ状態の解明」(Study of Pseudogap State of High-Tc Copper Oxide Superconductors)です。

温度を下げると電気抵抗がゼロになる超伝導は多数の物質に見られますが、銅酸化物が示す高温超伝導の発現機構は未だ理解されていません。一般に超伝導状態では、下から連続的に電子が詰まったエネルギー準位の最上部付近に電子状態が存在しないギャップが生じています。高温超伝導体では超伝導が発現する臨界温度より高温でもギャップが生じ、擬ギャップと呼ばれています。これが超伝導の前駆現象なのか、超伝導と競合する別の現象に起因するのか、見解が分かれており、重要な問題となっていました。

これに対し同氏は、角度分解光電子分光法を用いてBi系超伝導体における伝導性の角度依存を詳細に観測し、ギャップの生じる角度方向では擬ギャップが超伝導を抑制することを突き止め、この場合超伝導と競合する現象であることを示しました。またギャップがある角度方向でゼロとなるノード状態が臨界温度以上でも維持されることを明らかにしました。これらは、高温超伝導の発現機構の理解を大きく進展させるものであり高く評価されました。


(公開日: 2018年02月14日)