于澄氏(小濱研D2)が低温工学・超電導学会の2026年度優良発表賞を受賞
東京大学物性研究所 小濱研究室の于澄氏(博士課程2年)が、公益社団法人低温工学・超電導学会(CSSJ)の2026年度優良発表賞を受賞しました。本賞は、低温工学・超電導学会研究発表会において優れた発表を行った若手の会員(発表した年度の年度末時点で満35歳以下、かつ過去5年間に発表賞の受賞歴のない正会員・学生会員)に対して、口頭・ポスター発表の別を問わず授与されるものです。于澄氏は、2026年6月2日〜4日に横浜市開港記念会館(神奈川県横浜市)で開催された第111回(2026年度春季)低温工学・超電導学会研究発表会におけるポスター発表が評価され、6月3日に受賞しました。
受賞対象となった発表タイトルは「Trapping Magnetic Field in Tubular Stacked Coated Superconductors」です。
高温銅酸化物超伝導体(RE)Ba2Cu3O7(RE:希土類元素)は、他の超伝導体と比較して高磁場下でも大きな臨界電流密度(Jc)を持つことから、超伝導マグネットや送電線などへの応用に向けた有望な材料として期待されています。一方で、線材(コーテッドコンダクター、CC)を積層した試料に高磁場を捕捉(トラップ)させる研究が複数のグループによって進められており、2022年に最大捕捉磁場17.89 Tという記録が達成されました。本研究で于澄氏は、積層したCCの内部に捕捉された磁場を活用するため、その中心に穴を開け、大きく安定かつ均一な磁場を必要とする試料を配置するための空間を設けました。中心部における捕捉磁場の値とその時間的安定性を評価するため、9 Tからの磁場中冷却(field-cooling)過程および緩和過程において、ホールプローブを用いた測定が行われました。その結果、6 Kにおいて、積層CCの中心部に9 Tに極めて近い磁場(8.987 T)を捕捉することに成功しました。また、磁場捕捉の完了直後に速やかに温度を下げることで、捕捉から1時間後でも非常に小さな緩和(0.01%の減少)に抑えることが実現されました。さらに、自作のプローブを用いて捕捉磁場のz軸方向プロファイルを測定した結果、ΔB/Bにして0.05%/mmという小さな磁場均一度が達成されました。
以上の発表が評価され、受賞につながりました。