瀧川教授、井上学術賞を受賞

- 有機超伝導体(TMTSF)2ClO4における異方的エネルギーギャップ 有機超伝導体の超伝導状態においてNMR測定を初めて行い、プロトンの核スピン格子緩和率のT3温度依存性やコヒーレンス・ピークの消失を観測した。
- 銅酸化物高温超伝導体における磁気励起 反強磁性絶縁体である銅酸化物に伝導キャリアーをドープして高温超伝導を発現させた典型物質として、YBa2Cu3O7-Xの最適ドーピングおよび低ドーピングに対応する試料について、銅、酸素サイトの詳細なNMR測定を行い、低エネルギー磁気励起や超伝導の特性を明らかにした。
- 低次元量子スピン系における磁気揺らぎと磁気誘起量子相転移 Sr2CuO3における銅サイトの核スピン緩和率の測定により、スピン1/2の1次元反強磁性体のダイナミクスに関する量子臨界スケーリング則とその対数補正を定量的に検証し、鎖端に現れる磁化率の量子振動を見出した。ハルデインギャップを持つスピン1の1次元反強磁性体AgV2S6においてスピン拡散現象を見出し、スピン輸送現象に関するその後の理論的発展を促した。また2次元ダイマースピン系SrCu2(BO3)2において、ホウ素サイトのNMRにより磁化プラトー状態におけるスピン超構造を初めて観測した。
瀧川教授はこれらの研究に見られるように、原子スケールの空間分解能を持つ微視的な磁気プローブとしてのNMRの利点を巧みに用い、強相関電子系・量子スピン系の微視的磁性を明らかにし、量子多体系の理解の進展に大きく寄与されてきました。特に、氏の測定データの精密さと高い信頼性には特筆すべきものがあり、常に理論に刺激を与え、実験と理論の協力を促し、物性物理の発展に貢献してきたことが高く評価されて、今回の受賞となりました。
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(公開日: 2005年03月03日)