Yifan Liu氏(林研D1)がアメリカ生物物理学会のTravel Awardを受賞
林研究室のYifan Liu氏(博士課程1年)が、2026年2月21日から21日にかけてモスコーンセンター(サンフランシスコ)で開催された第70回Biophysical Society(アメリカ生物物理学会)年会にて、Travel Awardを受賞しました。この賞は、生物物理学における優れた研究を顕彰するとともに、世界中の生物物理学研究者間の交流を促進する若手研究者に授与されます。応募者の研究内容は、発表概要に示された研究の科学的価値に基づいて評価されます。審査は、Committee for Inclusion and Diversity(CID)、Committee for Professional Opportunities for Women(CPOW)、Education Committee、Early Careers Committee、Membership Committee などのBiophysical Societyの委員会によって行われました。
受賞対象となった発表タイトルは「Development of charged nanobubble-containing media and their effects on iPSC-derived cell culture」です。
帯電性ナノバブルは、直径1 µm未満のガスを内包した球状構造体であり、高い表面電荷、長期安定性、そして崩壊時に殺菌性を有するラジカルを生成する能力を特徴とします。これらの特性により、排水処理など幅広い応用が可能となっていますが、pH7付近の中性条件で安定性および表面電荷の維持が困難であることから、細胞生物学的応用は限定的でした。Liu氏らは、世界で初めてヒトiPSC由来神経細胞の培養培地(pH 7.4)中において、プラス帯電性とマイナス帯電性のナノバブル生成に成功しました。ナノバブル混入培地は、既知の殺菌効果と同様に、iPSC由来細胞に細胞死を誘導しましたが、正電荷ナノバブルは負電荷ナノバブルよりも強い効果を示すことが明らかになりました。今後は、帯電性ナノバブルが誘導する細胞死の分子生物学的機構を明らかにし、iPSC由来細胞の新しい培養制御技術の開発を目指します。
Liu氏がアジアとアメリカのBiophysical Societyの架け橋になる人材であることが期待され、この度の受賞に至りました。
関連論文
- 雑誌名:Scientific Reports
- 論文タイトル:Stable charged nanobubble with distinct polarities in culture media differentially affect the vaibility of human iPSC-derived neurons
- 著者: Yifan Liu, Takeshi Ohdaira*, Emi Kitakata, Michael A. Silverman, Jhunam Sidhu, Jun Okubo, Yoshihisa Harada, Kumiko Hayashi*
- DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-026-41156-4
