髙松宣道氏(林研M2)が日本分子生物学会の Poster Award 2025を受賞
林研究室の髙松宣道氏(修士課程2年生)が、2025年12月3日から5日にパシフィコ横浜で開催された第48回日本分子生物学会にて、MBSJ Poster Award 2025(優秀賞)を受賞しました。この賞は、同学会年会において、優れたポスター発表を行った学生会員に授与されるもので、今回は1,599件のエントリーがあり、当日審査の結果、171件(全エントリー中11%)が選出されました。
受賞対象となった発表タイトルは「DNAオリガミ製ナノスプリングを用いたモータータンパク質KIF1Aの力計測」です。
モータータンパク質キネシン・KIF1Aは、神経細胞内でシナプス形成に必要な物質を運ぶ分子モーターとして働き、神経活動を支える重要な役割を担っています。このKIF1Aに変異が生じると、物質を運ぶ速度や力が著しく低下し、輸送機能が損なわれます。その結果、神経細胞の働きが障害され、「KAND(KIF1A Associated Neurological Disorder)」と呼ばれる神経疾患を発症します。KIF1A変異体の力や速さといった運動機能(力学的性質)は、KANDの病状の重症度と相関することが知られており、力学的性質を調べることは疾患理解において重要です。髙松氏らは、DNAを材料にして作られた世界最小のコイル状バネであるナノスプリングをKIF1Aに結合させ、KIF1Aがどの程度ナノスプリングを伸ばすことができるか見ることで、力を測定することに成功しました。さらに、疾患原因とされる複数の変異において、野生型と比較して最大発生力が大きく低下していることを示し、力の低下が重症度と相関していることを発見しました。
髙松氏が開発した、物理的な「力」の情報をリアルタイムに読み取り、伝達し、解釈する技術は、細胞分子生物学への応用可能性が高く評価され、このたびの受賞に至りました。
関連論文
- 雑誌名:eLife
- 題 名:Stall force measurement of the kinesin-3 motor KIF1A using a programmableDNA origami nanospring
- 著者名:Nobumichi Takamatsu, Hiroko Furumoto, Takayuki Ariga, Mitsuhiro Iwaki*, Kumiko Hayashi*
- DOI:10.7554/eLife.108477.1
関連ページ
- MBSJ Poster Award 受賞者|第48回日本分子生物学会
- 東京大学物性研究所 林研究室
- 2025.10.07プレスリリースナノスプリングで測る神経疾患タンパク質の力学異常 ―分子の力を可視化する新技術―
- 2024.02.13プレスリリース極値統計学でモータータンパク質の物性評価 ―キネシンとダイニンの輸送速度の上限に相違を発見―
