大澤優太氏(中島研M1)が日本中性子科学会ポスター賞の優秀賞を受賞
中島研究室の大澤優太氏(修士課程1年生)は、11月26日から28日にかけて理化学研究所で開催された日本中性子科学会第25回年会においてポスター賞優秀賞を受賞しました。同賞は、同学会のポスターセッションの発表で、審査に応募したものの中から特に優秀な者に対し、優秀賞3件と、最優秀賞1件が選ばれ、授与されます。
受賞対象となった発表は「マルチフェロイック物質 Mn3WO6 の非偏極・偏極中性子回折」です。
固体中の電子が持つ電荷・スピン・軌道自由度が示す秩序と外場応答は物性物理の主要な研究対象であり、その中でも複数自由度の秩序が共存する物質群はマルチフェロイック物質と呼ばれ注目を集めています。このような系では磁場により電気分極を反転させたり、電場によって磁気秩序を変化させるような交差相関応答が実現することが期待され、将来的なデバイス応用にも期待が持たれており、盛んに研究されています。
大澤氏は、近年バルク単結晶が合成されたマルチフェロイック物質の一つであるMn3WO6について、研究用原子炉JRR-3に設置された偏極中性子三軸分光器PONTAを用いて結晶構造と磁気構造を研究しました。特に磁気構造については、2次元検出機を用いて三次元逆格子空間を網羅的に測定することで磁気伝播ベクトルを決定した他、共同研究者の高橋慎吾特任研究員(中島研)の協力のもと3He中性子スピンフィルターを用いた偏極中性子散乱実験を行い、磁気散乱の偏極解析を行うことでこの物質が示す複数の磁気秩序相のうち一部を決定することができました。
本発表では複雑な結晶構造と磁気構造を持つ物質について非偏極・偏極中性子の両方の特性を活かした解析を行ったことが評価されました。
