「ミネラル・オブ・ザ・イヤー2024」に“宮脇石”が選出 -福島で発見の新鉱物、独自構造が評価される
物性研究所電子顕微鏡室の浜根大輔技術専門職員らによる研究チームが発見した「宮脇石(Miyawakiite-(Y))」が2024年のミネラル・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。「ミネラル・オブ・ザ・イヤー」は、国際鉱物学連合の新鉱物・鉱物・命名委員会が鉱物科学の振興を目的として、その年に発見された最もエキサイティングな新鉱物を選出しているものです。
宮脇石(図1)は物性研究所電子顕微鏡室の浜根大輔技術専門職員らによる研究チームが福島県水晶山で発見した新鉱物で、国立科学博物館地学部長の宮脇律郎氏の功績をたたえて命名されました。宮脇石の化学組成は「□Y4Fe2+2(Si8O20)(CO3)4(H2O)3」で、これまでに例のない極めてユニークな結晶構造を有しています。
その構造は、巨視的には中空の角筒が整然と並んでいるように見え、角筒内部にはゼオライトのように空隙(化学組成の□が空隙を示す)を持つ骨格が組み込まれています(図2)。この空隙にはカリウムや水分子が存在することができるという、非常に特異な結晶構造です。
このように、既存の鉱物には見られない革新的な構造的特徴が高く評価され、宮脇石は「ミネラル・オブ・ザ・イヤー2024」に選出される栄誉を受けました。
浜根氏による解説記事はこちら ミネラル・オブ・ザ・イヤー 2024、宮脇石 / Miyawakiite-(Y)|東京大学物性研究所 電子顕微鏡室
関連論文
- 雑誌名:Journal of Mineralogical and Petrological Sciences
- 論文タイトル:Miyawakiite–(Y), □Y4Fe2(Si8O20)(CO3)4(H2O)3, a new mineral from Suishoyama, Kawamata Town, Fukushima Prefecture, Japan
- 著者: Daisuke Nishio-Hamane, Koichi Momma, Norimasa Shimobayashi, Masayuki Ohnishi, Toshinori Kobayashi
- DOI:10.2465/jmps.240722
関連ページ
- Miyawakiite-(Y), Mineral of the Year 2024 | International Mineralogical Association
- 東京大学物性研究所 附属物質設計評価施設 電子顕微鏡室
- 新鉱物、宮脇石(Miyawakiite-(Y))|東京大学物性研究所 電子顕微鏡室
(公開日: 2025年07月07日)