山本航平氏(和達研元学生)が井上研究奨励賞を受賞
和達研究室元学生の山本航平氏(現:量子科学技術研究開発機構NanoTerasuセンター研究員)が、第41回(2024年度)井上研究奨励賞を受賞しました。この賞は井上科学振興財団が、理学、医学、薬学、工学、農学等の分野で過去3年の間に博士の学位を取得した37歳未満の研究者で、優れた博士論文を提出した若手研究者に対し贈呈するものです。授賞式は2月5日、KKRホテル東京にて行われました。
受賞対象となった研究は「放射光でみる強磁性・反強磁性体薄膜の光誘起磁気ダイナミクス」です。
山本氏は、X線自由電子レーザー施設SACLAにおいてポンププローブ法による時間分解磁気光学効果の測定装置を開発し、3dおよび5dからなる強磁性合金薄膜の吸収端での磁気円二色性や磁気光学カー効果の時間分解測定により、元素ごとの磁性の光誘起状態の検出に成功しました。また、海外の放射光施設において、時間分解共鳴軟X線散乱測定により3d遷移金属酸化物の反強磁性秩序の光誘起現象についてもあきらかにしました。
これらの研究はいずれも独創的かつ世界最先端の成果で、学術研究として高く評価されています。また、本研究で開発されたSACLAでの実験セットアップは、特に複数の元素が含まれる磁性体に対して詳細な情報を与えるものであり、放射光科学と物質科学の両面において、世界に対して大きなアピールとなり先導的な研究であることが評価され、同賞の受賞に至りました。
関連論文
- “Ultrafast demagnetization of Pt magnetic moment in L10-FePt probed by magnetic circular dichroism at a hard x-ray free electron laser”, New J. Phys. 21, 123010 (2019)
- “Element-selectively tracking ultrafast demagnetization process in Co/Pt multilayer thin films by the resonant magneto-optical Kerr effect”, Appl. Phys. Lett. 116, 172406 (2020)
- “Photoinduced transient states of antiferromagnetic orderings in La1/3Sr2/3FeO3 and SrFeO3−δ thin films observed through time-resolved resonant soft x-ray scattering”, New J. Phys. 24, 043012 (2022)
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(公開日: 2025年02月07日)