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松山直史氏(小濱研D3)が日本物理学会第79回年次大会学生優秀発表賞(領域7)を受賞

小濱研究室の松山直史氏(博士後期課程3年生)は、9月16日〜19日にかけて北海道大学で行われた日本物理学会第79回年次大会において、学生優秀発表賞(領域7)を受賞しました。同賞は日本物理学会の領域7(分子性固体分野)において若手の優秀な発表を奨励するために設けられた賞です。

受賞対象となった研究は「配位高分子(d8-DMe-DCNQI)2Cuにおける超強磁場誘起金属絶縁体転移」です。

第79回年次大会学生優秀発表賞(領域7)

学生優秀発表賞(領域7)を受賞した松山直史氏

3Heはある圧力領域において加熱に伴って固化する特異な振る舞いを示し、ポメランチュク効果として知られています。これは液体状態の3Heがフェルミ縮退を起こすのに対し、固体状態の3Heが無秩序な核スピンに由来したより大きなエントロピーを有するためです。ポメランチュク効果は外部磁場による変調を受けると期待されますが、核スピン由来の効果であるため磁場効果は非常に小さく、実験的な検証は未達のままでした。

(DMeDCNQI)2Cuはπ電子とd電子の協奏を背景とする金属絶縁体転移を示し、特に絶縁体状態でd電子に由来する常磁性状態が実現します。この金属絶縁体転移は電子の液体固体相転移と見なすことができ、3Heの固化に対応します。核スピンに比べて3桁以上磁場効果の大きい電子スピンでポメランチュク効果に対する磁場効果を調べることができる、格好の舞台となります。

松山氏は(DMeDCNQI)2Cuに対する磁場誘起の金属絶縁体転移を観測することで、温度磁場相図を明らかにし、ポメランチュク効果に対する磁場効果を明らかにしました。これらの一連の研究が評価され、同賞の受賞に至りました。

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(公開日: 2024年11月29日)