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室井利彦氏(廣井研D2)が日本物理学会2024年春季大会学生優秀発表賞(領域8)を受賞

廣井研究室の室井利彦氏(博士後期課程2年生)は、3月18日〜21日にかけてオンライン上で行われた日本物理学会2024年春季大会において、学生優秀発表賞(領域8)を受賞しました。同賞は日本物理学会の領域8(強相関電子系分野)において若手の優秀な発表を奨励するために設けられた賞です。表彰式は9月、北海道大学にて開催された日本物理学会第79回年次大会にて実施されました。

受賞対象となった研究は「スピン-軌道結合絶縁体Ba2MgReO6における磁場下ドメイン整列」です。

学生優秀発表賞(領域8)

日本物理学会春季大会で学生優秀発表賞(領域8)を受賞した室井利彦氏

5d遷移金属を含む化合物において、スピン液体や多極子秩序といった強いスピン-軌道相互作用に由来する物性が注目を集めています。研究の対象物質であるBa2MgReO6は、5d電子系で多極子秩序を示すモデル物質として精力的に研究されています。この物質は、構造相転移を伴う電気四極子秩序転移および磁気転移を示します。この2段階の相転移に伴って、構造と磁気に関するドメインが形成されます。

室井氏は、2種類のドメインに対する磁場効果の観点から、多極子の磁場応答を調べました。磁場下のX線回折実験および磁化測定を行った結果、磁気ドメインと構造ドメインが磁場下で逐次整列することが明らかになりました。磁場下構造ドメイン整列は、四極子秩序を示す系をはじめとしたスピンと軌道が結合した系に特徴的な振る舞いです。また、磁場下でシングルドメイン試料が得られることが分かったため、ドメインの影響を排除した実験を行うことができ、さらなる多極子の研究の進展が期待されます。これらの業績が評価され、同賞の受賞に至りました。

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(公開日: 2024年10月21日)