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原田慈久教授が第1回日本放射光学会高良・佐々木賞を受賞

原田慈久教授は、2023年1月7日から9日にかけて立命館大学で行われた第36回日本放射光学会年会において第1回日本放射光学会高良・佐々木賞を受賞しました。高良・佐々木賞は、日本において放射光科学分野を先導した故 高良和武氏、故 佐々木泰三氏を由来にもつ賞で、放射光科学分野で優れた研究成果をあげた中堅研究者に授与されるものです。

授賞式の写真

第1回高良・佐々木賞を受賞した原田教授(左)

受賞対象となった研究は「軟X線発光分光による先駆的液体科学学理の開拓とその応用展開」です。

原田教授は、物質科学研究における軟X線発光分光の有用性にいち早く注目し、数々の先駆的な研究を行ってきました。代表的なものとして、超純水の高分解能軟X線発光測定と、その同位体効果・温度依存性・偏光依存性などの多角的な分析が挙げられます。液体の水構造は不均一であり、主に密度が異なる2つの動的状態が存在していることを見出しました。結果、従来の水構造のモデルから逸脱した、水の構造を電子状態レベルで議論する新しい研究の流れにつながっています。研究を通じて開発された試料環境制御技術は広く応用展開され、溶液中の機能性高分子材料の水素結合の評価や電池材料のその場観察研究などへと進展しており、2024年度から運用が開始される次世代放射光施設NanoTerasuにおいても、中心的研究の1つとして発展することが期待されています。

こうした長年の取り組みが新たな軟X線発光分光研究を開拓するに至り、日本の放射光科学の発展に大きく貢献したと評価され第1回日本放射光学会高良・佐々木賞を授与されました。

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