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伊藤 雅聡氏(森研D1)が分子科学会の優秀ポスター賞、日本物理学会の学生優秀発表賞を受賞

森研究室D1(当時)の伊藤雅聡氏が昨年10月に分子科学会の優秀ポスター賞を、本年3月に日本物理学会の学生優秀発表賞を受賞しました。分子科学会優秀ポスター賞は分子科学討論会のポスター講演において優秀な発表を行った分子科学会会員の若手研究者に、日本物理学会の学生優秀発表賞は、日本物理学会春季大会で口頭発表を行った学生に対し、優秀な発表を行った者に授与されます。

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受賞対象となった発表は以下です。

分子科学会 分子科学会優秀ポスター賞
「大気安定なd/π共役系アンバイポーラ半導体の開発:アルコキシ基鎖長による高次元化」
日本物理学会 学生優秀発表賞
「大気安定なd/π共役系アンバイポーラ半導体:置換基鎖長による電子構造の高次元化」

有機エレクトロニクスデバイスの発展を担う新しい半導体材料として、ホールを輸送するp型半導体と、電子を輸送するn型半導体の両方の性質を兼ね備えたアンバイポーラ型半導体が注目されています。しかし、特に大気中での安定な材料の実現が難しく、別々のp型半導体とn型半導体から成る複合材料や一部のポリマー材料などでこうした特性が見出されてきたましたが、複合材料では接触界面における伝導効率の低下や、特性の制御に重要な構造情報がポリマーにおいては入手困難である点が問題となっていました。

本研究では、d電子をもつ金属を中心に据えたd/π共役系骨格を利用することで、空気中の水や酸素に対して化学的に安定な電子構造を実現しました。この骨格に適切な側鎖を組み合わせることで高秩序性・高次元性・溶液加工性を両立させた新たな分子性半導体材料を実現しました。

本研究成果は優れたアンバイポーラ型半導体材料の実現に向けた分子設計指針を与えるものであり、有機太陽電池や有機ELといった次世代型有機エレクトロニクスデバイスへの電荷輸送材料としての応用、ならびに溶液プロセスを用いた簡便かつ低コストなデバイス製造の実現に対する貢献が期待されます。

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(公開日: 2023年05月01日)