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岡隆史教授が第18回(令和3(2021)年度)日本学術振興会賞を受賞

岡隆史教授が第18回(令和3(2021)年度)日本学術振興会賞を受賞しました。この賞は、日本の学術研究の水準を世界のトップレベルにおいて発展させるため、創造性に富み優れた研究能力を有する若手研究者に授与されるものです。新型コロナ感染症拡大対策のため、1月末に予定されていた授与式は開催されず、2月10日付で秋篠宮皇嗣殿下から受賞者に対するお祝いのことばが掲載されました。

受賞対象となった研究は「量子物質の動的制御の理論」(Theory of Dynamical Control of Quantum Materials)です。

物質にレーザーを照射すると、熱平衡状態では見られない新現象・新機能が発現します。それらを解明する理論研究は、基礎物理とともに物質の機能開発においても重要です。岡氏は、レーザー光のように周期的に時間変動する外場中で、電子がフロッケ状態と呼ばれる新しい量子状態にあることを理論的に示し、フロッケ・トポロジカル絶縁体という概念を提唱しました。さらに、物質にレーザーを照射することでさまざまなトポロジカル状態を実現できることを体系的に示し、世界的な非平衡トポロジカル相研究の端緒を拓きました。このほか、電子相関が強い物質の動的制御の理論を構築するなど、量子物質の非平衡状態の理解を大きく前進させました。岡氏のフロッケ・トポロジカル絶縁体の理論は、冷却原子などで検証実験が行われ、現在では人工物質でのトポロジカル状態の動的実現の標準的手法として用いられています。

量子物質の動的制御の標準理論をうち立てただけでなく、高エネルギー物理や統計力学基礎論など他分野へも波及する研究を行っており、将来の発展が期待できます。

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(公開日: 2022年06月09日)